パルスサーベイとは?実施のメリットや手順、質問例を紹介
以前に比べて人材獲得が難しさを増すいま、企業は在籍する従業員の能力をいかにして引き出し、長く活躍してもらえるかを考えなければなりません。パルスサーベイは、短い間隔で調査を重ねることで、従業員の意識をリアルタイムで把握する手法です。今回は、パルスサーベイを行うメリットや活用法、実施に向けて役立つ情報をお伝えします。
- パルスサーベイとは
- パルスサーベイのメリット
- 組織の変化や問題点を迅速に把握できる
- 従業員の声を経営に反映できる
- 従業員の意識や満足度を向上できる
- 低コストでの実施が可能
- パルスサーベイが役立つ場面
- オンボーディングでの活用
- メンタルヘルスチェックでの活用
- 人事評価や人事施策への活用
- パルスサーベイの実施ステップ
- 目的と目標の設定
- 質問内容の設計
- 調査方法の決定
- 回答者の選定
- 調査の実施
- 結果の集計・分析
- 結果の報告・共有
- 対応策の実施
- パルスサーベイの質問例
- 従業員満足度に関する質問項目の例
- 経営理念の浸透に関する質問項目の例
- 業務に関する質問項目の例
- パルスサーベイ実施の注意点
- 目的と目標を明確にする
- 対象者から十分な理解を得る
- 質問内容を適切に設計する
- 分析結果から具体的な改善につなげる
- まとめ:パルスサーベイを通じて自社の「今」を知ろう
1.パルスサーベイとは
パルスサーベイとは、従業員の意識や満足度を短期間で繰り返し調査する手法です。通常、週1回や月1回などの頻度で、5~15問程度の簡単な質問を実施します。
パルスサーベイの主な特徴は、以下の3つです。
- 短期間で繰り返し実施する
- 少ない質問数で行う
- 回答が簡単
パルスサーベイの目的は、短期間で繰り返し実施することで、組織の変化や問題点を迅速に把握することにあります。
似たような言葉として、エンゲージメントサーベイ、従業員満足度調査があります。
エンゲージメントサーベイは、従業員のエンゲージメントを高めることを目的とし、従業員の企業に対する信頼や愛着、仕事に対するやりがいなどを調査する手法です。
従業員満足度調査は、文字どおり、従業員の満足度を把握することを目的とし、従業員が職場の制度や環境、仕事内容についてどう感じているかを調査します。
2.パルスサーベイのメリット
パルスサーベイの主なメリットを解説します。
2.1.組織の変化や問題点を迅速に把握できる
短期間で繰り返し実施するため、組織の変化や問題点を迅速に把握できます。従業員の意識は、社会環境などの変化に対応し、常に変わります。内在する課題を把握することは、組織力強化のためのベースとなります。
2.2.従業員の声を経営に反映できる
従業員の声を定期的に収集し、経営陣に共有することで、経営陣は従業員のニーズを把握できます。得られた結果をより働きやすい環境づくりにつなげて、エンゲージメントの強化を図れます。
2.3.従業員の意識や満足度を向上できる
従業員の意識や満足度を把握し、パルスサーベイの結果を分析して適切な対応を打つことで、従業員満足度の向上を図れます。従業員満足度は離職防止にも大きな影響を与えることから、経営安定化には欠かせない指標です。
2.4.低コストでの実施が可能
パルスサーベイは質問数が少なく簡便であるため、比較的低コストで実施できます。実施や集計作業の手間がかからず、明確な結果が得られやすい点もメリットです。
3.パルスサーベイが役立つ場面
パルスサーベイの活用場面を解説します。
3.1.オンボーディングでの活用
オンボーディングとは、新入社員や中途採用者を職場になじませ、早期に活躍できるようにするためのプロセスです。パルスサーベイを通じて、新入社員や中途採用者の不安や課題を早期に発見できます。
定期的に実施することで、時間とともに変化する意識をとらえながら個別のフォローやサポートに生かせます。オンボーディングの成果を評価する指標としても有効です。
3.2.メンタルヘルスチェックでの活用
わずかな変化を見逃さず、従業員のメンタルヘルスの不穏な状態を早期に発見できます。
仕事に対するストレスや睡眠の質の低下、気分の落ち込みなどに気付くことで、早期の支援や対策を実施できます。
メンタルヘルス対策の成果を評価する指標としても役立つでしょう。
3.3.人事評価や人事施策への活用
パルスサーベイを人事評価や人事施策の検証材料として活用することで、人事評価の客観性を高められます。人事施策の効果を検証する指標としても役立ちます。
4.パルスサーベイの実施ステップ
パルスサーベイの具体的な実施の流れを解説します。
4.1.目的と目標の設定
最終的な改善へとつなげるために、パルスサーベイを実施する目的と目標を明確にします。目的には、組織の変化や問題点を把握すること、従業員の声を経営に反映すること、従業員の意識や満足度を向上させることなどが挙げられます。目標は、具体的な数値で設定します。
4.2.質問内容の設計
目的と目標を達成するために必要な質問内容を設計します。質問内容は、簡潔でわかりやすく、回答しやすい形式にする必要があります。また、回答者のプライバシーに配慮することも重要です。
4.3.調査方法の決定
調査方法は、紙ベース、Webベース、アプリベースなどから選択します。また、回答期限や回答方法なども決定します。
4.4.回答者の選定
回答者の対象を、全従業員、一部の従業員、特定の部門や役職の従業員などから選択します。
4.5.調査の実施
設計した質問内容を、決定した調査方法で実施します。
4.6.結果の集計・分析
回答結果を集計・分析し、課題や改善点を抽出します。
4.7.結果の報告・共有
課題や改善点を、経営陣や関係者に報告・共有します。
4.8.対応策の実施
課題や改善点に対して、適切な対応策を検討、実施します。冒頭で設定した目的、目標に沿った内容であることが重要です。
5.パルスサーベイの質問例
パルスサーベイの具体的な質問例を紹介します。
5.1.従業員満足度に関する質問項目の例
- 自分の仕事にやりがいを感じていますか?
- 上司や同僚のサポートは十分ですか?
- 職場の設備や環境は快適ですか?
5.2.経営理念の浸透に関する質問項目の例
- 経営理念を理解していますか?
- 経営理念を自分の仕事に生かしていますか?
- 経営理念が企業の文化として根付いていると思いますか?
5.3.業務に関する質問項目の例
- 仕事量や業務内容に満足していますか?
- 仕事の成果に満足していますか?
- 仕事で必要なスキルや知識は身につけていますか?
質問数は実施頻度にもよりますが、多くても計10~15問程度にとどめるのが一般的です。
6.パルスサーベイ実施の注意点
パルスサーベイを実施する際の注意点を解説します。
6.1.目的と目標を明確にする
実施すること自体が目的化しないよう、パルスサーベイで何を得たいのかを明確にすることが大切です。目的の設定は、最終的にはどのような組織が理想的であるか、企業のあり方そのものにかかわってきます。また、より具体的な成果につなげるためには、目標を可視化できる数値で設定する必要があります。
6.2.対象者から十分な理解を得る
正しい結果を得るためには、パルスサーベイへの理解が必要です。個人の特定や結果による影響の範囲などを明らかにし、回答者に不安を抱かせないよう体制を整えます。
6.3.質問内容を適切に設計する
質問は簡潔でわかりやすく、回答しやすい形式にして、回答者のプライバシーに配慮することが重要です。あいまいさを回避するために、シンプルさを心がけ、回答者の視点から設計します。
6.4.分析結果から具体的な改善につなげる
調査結果を出すだけではなく、企業としての状況改善が最終目的であることを意識した調査とする必要があります。パルスサーベイは繰り返し行われることで有効性が増しますが、従業員へ最終的に何が還元されるのかを示すことも大切です。
7.まとめ:パルスサーベイを通じて自社の「今」を知ろう
パルスサーベイは企業の状態を正しく把握し、健全な運営をするのに役立ちます。適切に活用することで、組織の活性化や生産性向上に大きな成果が期待できます。従業員の忌憚のない意見を収集するためには、パルスサーベイ実施への理解を求め、不要な不安を与えないように進めていく必要があります。
パルスサーベイ実施により、個人と組織の関係強化につなげていきましょう。
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