人材育成計画の立て方!必要なスキルや作成方法、成功のポイントを紹介


人材育成計画の立て方!必要なスキルや作成方法、成功のポイントを紹介

人材育成計画は、会社の目標達成と従業員の成長に欠かせない重要な取り組みです。

この記事では、人材育成計画の意義から、作成に必要なスキルや具体的な育成計画の立て方ポイントまでわかりやすく解説します。

  1. 人材育成計画とは何か?なぜ重要なのか
    1. 人材育成計画とは
    2. 人材育成計画が重要な理由
  2. 人材育成計画に必要なスキルと知識
    1. 分析力
    2. 目標設定スキル
    3. コミュニケーション能力
    4. 人材育成方法に関する知識
  3. 人材育成計画を立てる手順
    1. 経営戦略と求める人材像を明確化する
    2. 現状の人材レベルを把握する
    3. 必要なスキルを洗い出す
    4. 具体的な育成方法を検討する
    5. 人材育成計画書(ロードマップ)を作成する
    6. 定期的に評価・改善する
  4. 人材育成計画を立てる際のポイント
    1. 経営戦略と連動させる
    2. 現実的かつ具体的な目標設定を行う
    3. 従業員のモチベーションを高める
    4. 多様な育成方法を活用する
  5. 事業戦略に沿った人材育成計画を立てよう

1.人材育成計画とは何か?なぜ重要なのか

まずは、人材育成計画の定義や意義について解説します。

1.1. 人材育成計画とは

人材育成計画とは、企業が中長期的な視点に立って、経営戦略や事業目標の達成に必要な人材を育成するための計画です。具体的には、各従業員に求められるスキルや知識を明確にし、それらを習得するための研修プログラムや OJTの実施、自己啓発の支援などを体系的に計画します。
人材育成計画は、単に従業員の能力開発だけでなく、キャリア開発支援やエンゲージメント向上にも役立ちます。会社が従業員の成長を後押しする姿勢を示すことで、従業員のモチベーションを高め、組織への帰属意識を醸成できるのです。
また、IT人材の育成については、以下の記事で詳しく解説しています。

「IT人材とは?必要なスキルや採用・育成方法をわかりやすく解説」

1.2. 人材育成計画が重要な理由

人材育成計画が重要な理由としては、以下が挙げられます。

  • 経営戦略の実現

企業が持続的に成長していくためには、経営戦略に基づいた人材育成が不可欠です。会社の方向性と合致した人材育成計画によって、必要なスキルを持った人材を計画的に育成・確保できます。

  • 従業員のエンゲージメント向上

人材育成計画によって、従業員のキャリア開発を中長期的に支援し、成長の機会を提供できます。会社が従業員の成長を積極的にサポートすることで、エンゲージメントや定着率の向上につながります。

  • 効率的な人材マネジメント

計画的な人材育成を行うことで、無駄のない効率的な育成が可能になります。必要なタイミングで適切なスキルを持った人材を確保できるため、人員配置の最適化やスムーズな業務遂行が期待できます。

このように、人材育成計画は企業の成長と従業員のエンゲージメント向上の両面で非常に重要な役割を果たします。変化の激しいビジネス環境においては、戦略的な人材育成計画が、企業の持続的な成長に必要不可欠です。

2.人材育成計画に必要なスキルと知識

人材育成計画の立案に必要な主なスキル・知識は以下のとおりです。

2.1. 分析力

人材育成計画を立案する際には、現在の人材の能力やスキルレベル、課題を正確に把握することが重要です。各部門や職種ごとに、求められる能力要件を明確にし、現状とのギャップを分析する必要があります。

2.2. 目標設定スキル

人材育成計画は、会社の経営戦略や事業目標に紐づいている必要があります。そのため、会社の目標を深く理解したうえで、それを達成するために必要な人材像や具体的なスキルを明確にし、育成目標を設定する力が求められます。
目標は具体的かつ達成可能なものであることが重要で、短期・中期・長期の目標をバランスよく設定することが望ましいでしょう。

2.3. コミュニケーション能力

人材育成計画の立案や実行には、従業員との円滑なコミュニケーションが不可欠です。従業員一人ひとりのキャリア志向やスキルアップに対する意欲、育成に対する不安や懸念などを引き出し、適切にフィードバックを行う能力が必要とされます。

2.4. 人材育成方法に関する知識

効果的な人材育成を行うためには、Off-JT(Off the Job Training)やOJT(On the Job Training)など、さまざまな育成手法の特徴を理解しておく必要があります。それぞれの手法の長所と短所を把握したうえで、育成目的や対象者に合わせて、最適な手法を選択・組み合わせることが求められます。
人材育成の手法や階層別の育成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「人材育成とは?基本の意味や目的から主な育成方法、ポイントまで徹底解説」

3.人材育成計画を立てる手順

人材育成計画を立てる際は、以下のような手順で進めていきましょう。

3.1. 経営戦略と求める人材像を明確化する

まずは、会社の経営戦略を再確認し、その達成に必要な人材像を明確にしましょう。各部門や職種ごとに、どのような知識・スキル・能力を持った人材が求められるのかを具体的に定義します。この作業を通じて、人材育成の方向性が明らかになります。

3.2. 現状の人材レベルを把握する

現在の従業員の知識・スキル・能力のレベルを把握します。人事評価データやアセスメントの結果などを活用して、客観的な現状分析を行うことが重要です。また、個々の従業員のキャリア志向も合わせて把握しておくのが望ましいでしょう。
人材アセスメントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

「人材アセスメントとは?活用メリットや実施の手順、成功のポイントを解説」

3.3. 必要なスキルを洗い出す

経営戦略に基づく人材要件と、現状の人材レベルとのギャップを分析することで、優先的に育成すべきスキルが明らかになります。部門や職種、階層ごとに、具体的なスキル項目を洗い出し、リストアップしていきます。この作業は、人材育成計画の骨子となる重要なステップです。

3.4. 具体的な育成方法を検討する

洗い出した必要スキルを効果的に習得させるために、具体的な育成方法を検討します。Off-JTとしての研修プログラムの開発、資格取得の支援、OJTの強化など、さまざまな手法を組み合わせて、最適な育成プランを立案します。

3.5. 人材育成計画書(ロードマップ)を作成する

これまでの検討内容を整理し、スケジュール、予算、担当者、目標などを明確に定めた人材育成計画書(ロードマップ)を作成します。計画書には、具体的な施策や研修プログラムの内容を盛り込み、実行可能な形にまとめることが大切です。計画書を用意しておくことで、人材育成の取り組みが体系化され、効率的に進められます。
なお、計画書の作成時は、厚生労働省の「職業能力評価基準」のフォーマットが参考になります。詳しくは以下をご確認ください。
職業能力評価基準|厚生労働省

3.6. 定期的に評価・改善する

策定した人材育成計画を実行に移し、定期的に進捗状況を確認します。計画通りに育成が進んでいるか、課題や改善点はないかを検証し、必要に応じて計画を修正しながらPDCAサイクルを回していきます。

具体的には、研修プログラムの受講者アンケートや上司によるフィードバック、人材アセスメントの結果などを基に、育成施策の効果を多面的に評価します。改善が必要な点があれば、速やかに計画を見直し、より効果的な育成方法を検討・導入しましょう。定期的に人事部門と各事業部門の責任者が集まり、育成施策の効果と課題を議論する部門横断的な会議を開催するのも有効です。
さらに、事業環境の変化や経営戦略の転換などに応じて、人材育成の方向性や目標を柔軟に変更していくことも重要です。例えば、年次で同業他社や先進企業の人材育成施策を調査し、自社の取り組みと比較・分析することで、最新のトレンドや効果的な施策を取り入れることができます。

4.人材育成計画を立てる際のポイント

人材育成計画を立てる際は、前述のステップを踏むことに加えて、以下のようなポイントも意識することが大切です。

4.1. 経営戦略と連動させる

人材育成計画は、単独で存在するものではなく、会社の経営戦略や目指すべき方向性と整合性を取ることが重要です。経営層が掲げるビジョンや中長期的な事業戦略を深く理解し、それを実現するために必要な人材像や育成方針を明確にします。
人材育成と経営戦略が連動することで、会社の成長と個人の成長が同期し、より大きな効果が期待できます。

4.2. 現実的かつ具体的な目標設定を行う

人材育成計画の目標は、抽象的で曖昧なものではなく、達成可能な具体的な指標を設定することが大切です。例えば、「専門知識の習得」といった抽象的な目標ではなく、「業務に関連する専門分野の勉強会やセミナーに月1回以上参加する。得た知識を業務に活かし、その成果を3カ月ごとにA4一枚のレポートにまとめる」といった具体的な目標を設定します。
数値化された目標は、進捗状況の把握や達成度の評価がしやすく、PDCAサイクルを回しやすくなります。

4.3. 従業員のモチベーションを高める

人材育成計画は、従業員が自発的に学習し、成長意欲を持ち続けられるよう、モチベーションを高める仕組みを導入することが重要です。例えば、習得したスキルや知識を活かせる機会を提供したり、成長に応じて役割や権限の幅を広げたりすることで、従業員のやる気を引き出すことができます。
また、上司との定期的な面談により適切なフィードバックを行うことも、モチベーション維持に役立ちます。

4.4. 多様な育成方法を活用する

人材育成計画では、従業員の特性や目的に合わせて、多様な育成方法を選択し、活用することが大切です。集合研修や eラーニングなどのOff-JT だけでなく、OJT や課題解決型学習、ジョブローテーションなど、さまざまな手法を組み合わせることで、より効果的なスキル習得が可能になります。
従業員の特性や習得すべきスキルに応じて、最適な育成方法を柔軟に選択していくことが求められます。
以上のポイントを意識しながら、人材育成計画を立案・実行することで、会社の成長と従業員の成長を両立させ、強い組織づくりにつながるでしょう。

5.事業戦略に沿った人材育成計画を立てよう

人材育成計画は、会社の目標達成と人材の能力開発に欠かせない重要な取り組みです。効果的な計画を立てるためには、経営理念や目指す人材像との整合性を取りながら、一人ひとりのスキルやキャリアに見合った育成計画を立てることが大切です。

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