人材育成とは?基本の意味や目的から主な育成方法、ポイントまで徹底解説
人材育成は企業の持続的成長に欠かせない取り組みです。しかし、その具体的な進め方や課題解決策について悩む企業も少なくありません。
本記事では、人材育成の基本的な考え方から、主な手法、職種・階層別の育成方法やポイントまで、幅広く解説します。自社の人材育成を見直し、より効果的な育成施策を立案するためにぜひ参考にしてください。
- 人材育成とは
- 人材育成の課題
- 人材育成の主な手法
- OJT(On-the-Job Training)
- Off-JT(Off-the-Job Training)
- 自己啓発支援
- ジョブローテーション
- 職種・階層別の人材育成方法
- 新入社員の育成
- 中堅社員の育成
- 管理職の育成
- 効果的な人材育成を行うポイント
- 人材育成の目的と方針を明確にする
- 人材育成計画を立てる
- 個々に合ったキャリア開発を支援する
- 従業員の主体的な学習・成長を促す
- 育成効果を定期的に検証し、改善する
- 人材育成の成功事例
- 株式会社LIFULL
- 株式会社サイバーエージェント
- 自社に最適な人材育成の進め方を見つけよう
1.人材育成とは
人材育成とは、組織の発展に貢献できる有能な従業員を育てることです。
人材育成は、企業の発展と従業員のキャリア形成の両面で重要な意義を持ちます。生産性の向上、企業の競争力の強化、優秀な人材の定着など、さまざまなメリットにつながるため、経営戦略の実現に必要不可欠な取り組みとして、積極的に進めていくことが大切です。
各分野に特化した人材育成については、以下の記事で解説しています。
「IT人材とは?必要なスキルや採用・育成方法をわかりやすく解説」
「DX人材とは?求められる役割や必要とされる理由、人材確保の方法」
2.人材育成の課題
企業にとって人材育成は重要な取り組みである一方、人材育成を進めるにあたり、以下のような課題に直面するケースがあります。
- 育成にかける時間的・人的リソースが不足している
人材育成にはかなりの時間と人的リソースが必要となります。特に、OJTを中心とした育成では、指導する側の社員の業務負荷が増大し、本来の業務に支障をきたすケースもあります。
- 指導する側の教育スキルが十分でない
指導する側の社員の教育スキルに課題を感じる企業も少なくありません。知識やノウハウを持っているだけではうまく教えることはできず、コミュニケーション能力や、相手の理解度に合わせた説明力が求められます。
- 自発的に学ぼうとする意識が低い従業員が多い
従業員の学習意欲の低さも、育成を進めるうえでの障壁となります。自発的に学ぼうとする意識が乏しいと、研修に参加しても、その内容を業務に活かそうとしません。
- 人材育成のための社内の協力体制が確立されていない
人材育成を進めるためには、社内の協力体制が欠かせません。管理職が育成の重要性を理解せず、部下の育成に消極的であったり、他部署との連携が取れていなかったりすると、育成の取り組みは断片的なものに終わってしまいます。
こうした状態に陥らないためにも、効果的な人材育成の手法やポイントを理解したうえで、人材育成に取り組むことが大切です。次章から具体的な育成方法について解説していきます。
3.人材育成の主な手法
まず、人材育成の主な方法として、以下の4つの手法を押さえておきましょう。
3.1. OJT(On-the-Job Training)
OJTは、先輩社員が業務の中で後輩を直接指導する、最も一般的な人材育成の手法です。仕事の現場で実践的なスキルを身につけられるのが大きな利点です。OJTを効果的に行うためには、指導者の選定や育成、指導内容の標準化などが重要なポイントとなります。
3.2. Off-JT(Off-the-Job Training)
Off-JTは、業務を離れて行われる研修や勉強会、セミナーなどを指します。社内で行う場合も、外部の教育機関を利用する場合があります。研修後のフォローアップや、習得したスキルを活かせる機会の提供を通じて、学んだ内容を実践につなげる工夫が大切です。
3.3. 自己啓発支援
自己啓発支援は、従業員の自発的な学習を企業が支援する取り組みです。具体的には、資格取得や外部セミナー参加の費用補助、貸出図書の用意、eラーニングの導入などが挙げられます。自己啓発支援は、従業員の学習意欲を高め、自律的なキャリア開発を促進します。
3.4. ジョブローテーション
ジョブローテーションは、計画的に従業員の異動を行い、さまざまな職務を経験させることで、幅広いスキルを養成する育成手法です。自己の専門領域以外の知識やスキルを身につけ、視野を広げられるほか、組織内のコミュニケーションや協力関係の強化にも役立ちます。ジョブローテーションを行う際は、個人の適性やキャリアプランを考慮しながら、中長期的な視点で計画を立てましょう。
4.職種・階層別の人材育成方法
続いて、職種・階層別の人材育成方法を解説します。人材育成は、画一的な育成プログラムでは十分な効果が得られません。従業員一人ひとりの段階に見合った育成方針を設定し、きめ細かな支援を行うことが重要です。
4.1. 新入社員の育成
新入社員の育成では、会社への適応と基本的なビジネススキルの習得に重点を置きます。新卒採用の場合は、まずは入社時研修で会社の理念や業務の概要、社会人としてのマナーなどを学びます。配属後は、先輩社員によるOJTを通じて、具体的な業務の進め方を身につけていきます。また、定期的なフィードバックやフォローアップ面談で、新入社員の成長を支援するとともに悩みや不安の解消にも努めしょう。
4.2. 中堅社員の育成
中堅社員の育成では、リーダーシップやマネジメントスキルの強化、専門性の向上が主なテーマとなります。リーダー研修では、部下とのコミュニケーション、モチベーション管理、業務の割り振りや進捗管理など、マネジメントの基本スキルを学びます。また、問題解決力や意思決定力を高めるワークショップや、プレゼンテーション能力を磨く研修も効果的です。また、キャリアについての面談を定期的に行い、中長期的な育成プランを立てることも大切です。
4.3. 管理職の育成
管理職の研修では、リーダーシップ理論やコーチング、労務管理など、マネジメントに必要な知識とスキルを体系的に学びます。加えて、経営戦略や財務、マーケティングなど、経営全般に関する理解を深める研修も重要です。管理職同士の情報交換や、他社の管理職との交流機会を設けることで、視野を広げ、新しい発想を得ることもできるでしょう。
5.効果的な人材育成を行うポイント
人材育成の基本を押さえたうえで、ここでは、効果的な人材育成を行うために意識すべきポイントについて解説します。
5.1. 人材育成の目的と方針を明確にする
人材育成を始める前に、まず組織として人材育成の目的を明確に定義することが重要です。この目的と方針を全社で共有し、人材育成への理解と協力を得ることが欠かせません。
5.2. 人材育成計画を立てる
人材育成を体系的に進めるには、中長期的な視点に立った計画づくりが必要です。人材育成計画では、育成の目標、対象者、方法、スケジュール、予算などを詳細に定めます。
人材育成計画の具体的な立て方について知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
「人材育成計画の立て方!必要なスキルや作成方法、成功のポイントを紹介」
5.3. 個々に合ったキャリア開発を支援する
画一的な育成プログラムではなく、従業員一人ひとりの特性に合わせたキャリア開発の支援が求められます。そのためには、人材アセスメントを活用し、個人の能力や可能性を多面的に把握することが有効です。アセスメントの結果をもとに、個人に合ったキャリアプランを設計し、必要な教育や経験の機会を提供していきます。
人材アセスメントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「人材アセスメントとは?活用メリットや実施の手順、成功のポイントを解説」
5.4. 従業員の主体的な学習・成長を促す
従業員の自発的な行動や成果を称賛し、成長意欲を促すことも大切です。例えば、自己啓発の補助制度や、社内公募制度などを整備することで、従業員の積極的なチャレンジを促すことができます。また、努力したことやその成果を適切に評価し、称賛することも重要です。
5.5. 育成効果を定期的に検証し、改善する
育成の目的に沿った評価指標を設定し、データに基づいて効果を測定します。評価の結果、課題や改善点が明らかになれば、育成プログラムや制度の見直しにつなげ、PDCAサイクルを回しましょう。
6.人材育成の成功事例
続いて、効果的な人材育成に取り組んでいる国内企業の事例をご紹介します。
6.1. 株式会社LIFULL
不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営する株式会社LIFULLは、従業員の自発的なキャリア形成を支援する仕組み作りを進めています。具体的には、新事業立ち上げ時の社内公募制度や、業務時間のうち1割を他部署の業務経験に充てることができる、社内兼業制度などを整備しています。
この取り組みから学べるのは、社員のキャリア志向を尊重し、自律的な成長を支援する姿勢の大切さです。近年はひとつの会社に長く務める風潮が薄まり、常により良いキャリアを求めて転職するケースも少なくありません。そうしたなか、社員のキャリア形成を会社が後押しする姿勢は、優秀な人材の定着にもつながるでしょう。
6.2. 株式会社サイバーエージェント
「ABEMA」などのメディア事業を展開するサイバーエージェントでは、グループ全社員を対象に、最も活躍した個人やチーム、プロジェクトなどを表彰する全社総会を開催しています。また、現場のエンジニアが主導となって、社内で活躍するエンジニアやクリエイターに特化した表彰制度「CA BASE AWARD」も推進しています。
同社の事例からは、社員の成長を会社全体で応援する文化の重要性が見えてきます。各部署でも、月に一度こうした表彰制度を設けており、社員のモチベーションを多角的に引き出しているそうです。
7.自社に最適な人材育成の進め方を見つけよう
ここまでお伝えしてきたように、人材育成は、企業の目指す姿の実現に欠かせない取り組みです。自社の状況を見極め、適切な手法を選択し、PDCAを回しながら育成を進めることが大切です。従業員一人ひとりの成長が組織全体の成長につながることを忘れずに、戦略的な人材育成に取り組んでいきましょう。
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また、自己診断機能により強みと弱みを可視化するだけでなく、一人ひとりに適したキャリアプランを作成できるため、主体的な成長につながる点も大きな特長です。
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