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中小企業の課題解決!情シス業務を効率化する5つの方法
企業のデジタル化が加速する中、中小企業の情シス(情報システム部門)は、増大する業務への対応に課題を抱えています。
特に従業員50~300人規模の企業では、日々のヘルプデスク対応や保守管理に追われ、本来注力すべきDX推進や戦略的なIT活用が後回しになりがちです。
本記事では、中小企業の情シス部門が直面する課題を解決するための具体的な効率化の方法と、その実践のステップをご紹介します。
- 社内でDXを推進している方
- 情シス部門の業務を効率化したい方
- 慢性的な人員不足にお悩みの方
1.中小企業の情シス部門が直面する3つの課題
デジタル技術の急速な進展により、企業の情報システムは複雑化・高度化の一途をたどっており、情シス業務を効率化するには、まず現状の課題を正しく把握する必要があります。
特に中小企業特有の課題として、以下の3つが深刻な影響を及ぼしています。
1-1.課題① 慢性的な人員・リソース不足
多くの中小企業では、情シス担当者が1~2名程度と少なく、システム導入や保守、セキュリティ対策まで多岐にわたる業務を少人数で担当しています。
経済産業省の調査「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)- IT人材需給に関する調査 -調査報告書」によると、2030年には日本のIT人材が最大で約79万人不足すると予測されており、以下のような業務領域で特に人材不足が顕著となっています。
- システムインフラの設計・構築・運用保守
- セキュリティ対策の実施・監視
- 新規IT施策の企画・推進
- レガシーシステムの保守・改修
このような状況のなか、中小企業にとっては給与水準や福利厚生の問題、さらにIT人材市場全体の逼迫により、人材確保が困難な状況が続いています。
参考:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)- IT人材需給に関する調査 -調査報告書|経済産業省
IT関連の人材不足については、以下の記事もご覧ください。
「IT人材とは?必要なスキルや採用・育成方法をわかりやすく解説」
1-2.課題② ヘルプデスク対応による業務圧迫
日々発生する従業員からのIT関連問い合わせやトラブル対応に多くの時間を取られ、システムの計画的な更新や新規導入といった重要業務にリソースを割けない状況が続いています。
一般的な中小企業の情シス部門では、以下のような問い合わせに日々追われています。
- PCやプリンターなどの機器トラブル対応
- 業務アプリケーションの操作方法案内
- パスワードリセットやアカウント関連の管理
- 社内ネットワークの接続トラブル対応
- リモートワーク環境のサポート
特に近年は、テレワークの普及により、リモート環境でのトラブル対応も増加傾向にあり、情シス担当者の業務負荷は更に高まっています。
1-3.課題➂ システム管理の属人化リスク
少人数での運営により、特定の担当者にシステム管理のノウハウが集中し、その担当者の不在時や退職する際にシステム運営が滞るリスクを抱えています。
具体的には以下のようなリスクが存在します。
- システム構成や設定変更履歴の文書化不足
- 障害対応手順の標準化・マニュアル化の遅れ
- バックアップ担当者の不在
- 急な人事異動や退職時の引き継ぎ困難
このような属人化は、事業継続性の観点からも大きな課題となっています。
特に中小企業では、予算や人員の制約から、属人化解消に向けた取り組みが後回しになりがちです。
情シスの課題について詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
「情シス(情報システム部門)の課題とは?現状と役立つ解決策を紹介」
2.中小企業の情シス効率化に向けた5つの具体策
情シス部門が直面する課題を解決するために、実践できる具体的な効率化施策を5つ紹介します。
これらの施策は、企業の規模や状況に応じて段階的に導入することが可能です。
2-1.具体策① 業務の優先順位付けと範囲の明確化
情シス部門の業務を「緊急度」と「重要度」の2軸で整理し、真に必要な業務に注力できる体制を構築します。
例えば、システム障害対応やセキュリティインシデント対応は「緊急かつ重要」、システム更新計画は「重要だが緊急ではない」というように分類します。
このように業務を整理し、各部門で対応可能な業務の切り分けを行うことで、情シス部門は重要業務により多くの時間を割くことができるでしょう。
2-2.具体策② ヘルプデスク業務の最適化
FAQやマニュアルの整備、チャットボットの導入など、問い合わせ対応の自動化・効率化を進めることで、ヘルプデスク業務の負荷を軽減できます。
よくある問い合わせをデータベース化し、解決手順を標準化するなどし、対応時間の短縮と品質の向上を図ります。
また、パスワードリセットなどの定型業務を自動化することで、情シス担当者の作業負荷を大幅に削減することが可能です。
2-3.具体策③ クラウドサービスの戦略的活用
適切なクラウドサービスを選定・導入することで、システム運用や保守の負担を軽減し、セキュリティを強化することも可能です。
メールやグループウェアなどのコミュニケーションツール、セキュリティ対策ソフトなど、運用負荷の高いシステムから段階的にクラウド化を進めることで、情シス部門の日常的な運用負担を軽減できるでしょう。
クラウドの活用について詳しくは、以下の記事もご覧ください。
「DXにはクラウド化が必要?実施にあたり知っておきたい進め方とポイント」
2-4.具体策④ ITリテラシー向上施策
定期的な社内研修やeラーニングの実施により、従業員のITスキルを向上させ、基本的な問い合わせやトラブルを自己解決できる割合を増やすことが可能です。
各部門にITサポーター制度を導入し、基本的なトラブル対応を部門内で解決できる体制を整えることで、情シス部門への問い合わせを削減できます。
従業員のリテラシーについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
「DXリテラシーとは?企業にとっての重要性と向上のポイントを解説」
2-5.具体策⑤ 外部リソースの効果的な活用
ヘルプデスク業務や日常的なシステム運用の一部を外部委託することで、限られた内部リソースをより戦略的な業務に集中させることが可能になります。
特に24時間対応が必要な監視業務や、定型的な運用保守業務は、外部委託の効果が高い領域です。
段階的に移行を進め、効果を確認しながら最適な運用体制を構築することが重要です。
アウトソーシングに関しては、こちらの記事もご覧ください。
「ITアウトソーシングとは?基礎からメリット、注意点や事例まで詳しく解説」
3.情シス業務の効率化がもたらす経営のメリット
効率化施策の導入により、企業にはどのような価値がもたらされるのでしょうか。
ここでは、経営的な観点から主要な3つのメリットについて解説します。
3-1.コスト削減効果
情シス業務の効率化により、複数の側面でコスト削減が期待できます。
属人化の解消によって、急なトラブル対応や引き継ぎにかかる追加コストを抑制することが可能です。
また、無駄な支出を見直し、計画的なシステム投資を実現することで、IT関連予算の最適化も図れます。
具体的には、クラウドサービスの活用による初期投資の抑制や、運用コストの平準化なども実現可能です。
3-2.生産性向上
効率化によって生まれた時間的余裕により、情シス部門はDX推進などの戦略的業務に注力することができます。
また、ヘルプデスク業務の最適化によって問い合わせ対応時間が短縮され、従業員の待ち時間も削減可能です。
さらに、ITリテラシー向上施策により、従業員の業務スピードも向上し、組織全体の生産性アップにつながります。
DX推進について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
「DX推進計画とは?企業が着実な変革にいたるための進め方とポイントを解説」
3-3.リスク軽減
システム管理の属人化を解消し、標準化された運用体制を構築することで、安定的なIT運用が実現可能です。
また、効率化によって生まれた余力を活かし、セキュリティ対策の強化や事業継続計画(BCP)の整備にもリソースを割くことができます。
結果として、システムダウンのリスクや情報セキュリティインシデントの発生リスクを最小限に抑えることが可能です。
このように、情シス業務の効率化は、コスト、生産性、リスク管理の観点から、企業経営に大きなメリットをもたらすことができるでしょう。
弊社では、情シス業務を効率化させたいけれど何から始めたらよいか分からない方向けに、業務課題のご相談から承っております。
ご興味のある方は、下記サービスサイトをご覧ください。
4.効率的な情シス運営を実現する外部リソースの選択ポイント
中小企業の情シス部門が外部リソースを活用する際、適切なパートナー選びが成功の鍵となります。
以下のポイントから、自社に最適なサービスを選択しましょう。
4-1.企業規模に応じた柔軟なサービス提供
中小企業特有の課題やニーズを理解し、必要な機能を選択できるサービス体系があることを確認しましょう。
必要以上に大規模なサービスを導入すると、コストが高騰するだけでなく、運用負荷も増大する可能性があります。
スモールスタートが可能で、段階的に機能を拡張できるサービスが理想的です。
4-2.迅速なサポート体制
問い合わせから解決までのレスポンス時間が明確で、緊急時の対応体制が整っているかを確認します。
特に業務時間中のトラブルについては、事業への影響を最小限に抑えるため、迅速な対応が不可欠です。
サービスレベル合意(SLA)の内容を事前に確認することをお勧めします。
4-3.実績とナレッジの蓄積
同規模企業での導入実績があり、業界特有の課題に対する理解と解決ノウハウを持っているかを確認します。
これにより、導入時の混乱を最小限に抑え、効果的な運用を実現できる可能性が高まります。
過去の導入事例や、具体的な成功実績を確認することが有効です。
4-4.コストパフォーマンスの評価
サービス内容と価格のバランスを検討し、ROIの観点から最適な選択をすることが重要です。
特に中小企業では、段階的な導入による費用対効果の検証を推奨します。
月額費用だけでなく、初期費用や追加オプション費用なども含めた総合的な評価が必要です。
このような観点から適切なパートナーを選択することで、効率的な情シス運営の実現が可能です。
5.まとめ:戦略的IT活用を実現するヘルプデスクサービス
本記事では、中小企業の情シス部門が抱える課題に対する具体的な効率化施策をご紹介してきました。
これらの施策を実践するにあたっては、まず自社の課題を「緊急度」と「重要度」で整理する現状分析から始めることが重要です。
そのうえで、即効性の高い施策から優先的に着手し、外部リソースの活用を含めた計画的な実施を進めていくことで、着実な効果が期待できます。
特に外部ヘルプデスクサービスの活用は、即効性の高い効率化施策として注目されています。
サン・エム・システムのヘルプデスクサービスは、中小企業のIT環境を熟知した専門スタッフが、日々の問い合わせ対応からトラブルシューティングまで、幅広くサポートいたします。
情シス部門の負担軽減と、より戦略的なIT活用の実現に向けて、まずはお気軽にご相談ください。
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【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。