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ITSM(ITサービスマネジメント)とは?基本やメリット、ツールについて解説
今日のビジネス環境において、ITは単なる業務支援ツールではなく、企業の競争力を左右する重要な資産となっています。
しかし、複雑化するITシステムを効果的に管理し、ビジネスニーズに迅速に応えることは、多くの企業の課題ともいえるでしょう。
こうしたなか昨今注目を集めているのが、ITSM(ITサービスマネジメント)です。
ITSMは、企業の情報システム部門が効率的にサービスを提供し、ビジネス目標の達成を支援するための重要な枠組みです。
本記事では、ITSMの基本概念やプロセスから、具体的なメリット、ツール導入のポイントまでをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
- ITSMについて詳しく知りたい方
- IT業務の効率化をお考えの方
- ITSMツールの導入をご検討中の方
1.ITSMとは
1-1.ITSMとは何か
ITSM(Information Technology Service Management)とは、ITサービスを効率的に提供・管理するための活動全般を指す概念です。
ITSMの目的は、ビジネスニーズに合わせてITサービスを適切に提供し、組織全体の生産性と効率性を向上させることにあります。
例えば、新入社員の入社時にスムーズにPCのセットアップができるようにする、社内システムにトラブルが発生した時に素早く対応できるようにすることなどは、ITSMの一環です。
適切にITSMを実践することで、情報システム部門の負担を軽減しつつ、安定したITサービスを提供することができます。
現在、情報システム部門の業務にお悩みの方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。
1-2.ITSMと似た言葉との違い
ITSMに関連する概念はいくつか存在しますが、それぞれ異なる側面や目的を持っています。
主な関連概念とITSMとの違いを説明します。
- ITIL(Information Technology Infrastructure Library)
ITILは、ITSMの実践方法をまとめたものです。
ITSMが「何を」に焦点を当てた広義のフレームワークであるのに対し、ITILは「どのように」に着目し、成功事例や方法論をまとめたガイドラインといえます。
- ITSMS(ITサービスマネジメントシステム/IT Service Management System)
ITSMが概念や方法論であるのに対し、ITSMSは、ITSMを実践するための組織的な仕組みやシステムを指します。
- ITOM(IT運用管理/Information Technology Operations Management)
ITOMはITSMの一部です。
ITOMは、ITSMのなかでも特に日々の運用面の作業(オペレーション)に焦点を当てています。
具体的には、ITサービスの安定性やセキュリティを確保するために、ネットワークやデバイス、システムの構成要素(ハードウェア、ソフトウェア、ライセンスなど)の管理を行うことが重要とされます。
2.ITSMの主なプロセス
ITSMのフレームワークには、効果的なITサービス管理を実現するために以下のようなプロセスが定義されています。
2-1.インシデント管理
インシデント管理は、ITサービスのインシデント(問題)を迅速に解決するプロセスです。
システムダウンやメール障害などのインシデントが発生した際、その影響を最小限に抑えることが目的です。
具体的には、インシデントの検出や記録を行い、正常な状態に復旧させます。
後述する「問題管理」のプロセスとは異なり、「インシデント管理」は迅速な対応・復旧に焦点を置くプロセスです。
2-2.問題管理
問題管理は、インシデント(問題)の根本原因を特定し、再発を防ぐことに焦点を置いたプロセスです。
単に問題を解決するだけでなく、なぜその問題が起きたのか、根本原因を突き止めます。
問題のパターンを分析し、改善点を見出すことで、長期的にITサービスの安定性を高められます。
2-3.変更管理
変更管理は、ITシステムの変更に伴うリスクを最小限に抑えるプロセスです。
新しいソフトウェアの導入やハードウェアの更新時にその影響とリスクを見定め、十分なテストと検証を行ったうえで、システム変更を適切なタイミングで実施します。
これにより、システムの安定性を保ちながら必要な改善を実現できます。
2-4.サービスリクエスト管理
サービスリクエスト管理は、顧客や従業員からの一般的な要望に効率よく対応するプロセスです。
例えば、新しいソフトウェアのインストールやパスワードのリセットといったリクエスト(要望)を扱います。
特に要望頻度が多いものについては、手順を標準化し、ユーザー自身で解決できる仕組みを提供することで、ユーザー満足度の向上と情報システム部門の負担軽減の双方に役立ちます。
2-5.ナレッジマネジメント
ナレッジマネジメントは、IT関連の知識や情報を効果的に管理・共有するプロセスです。
過去の問題解決方法やFAQをナレッジベースで蓄積し、必要な時にすぐに情報にアクセスできる仕組みを作ります。
これにより、問題解決の迅速化や組織全体のIT能力向上につながります。
2-6.IT資産管理
IT資産管理は、ハードウェアやソフトウェアなどのIT資産を適切に管理するプロセスです。
すべてのIT資産の所在と状態を把握し、効率的に利用することが目的です。
ソフトウェアのライセンスやセキュリティ管理もプロセスに含まれます。
これにより、セキュアで効率的なIT運用が可能になります。
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詳しくは弊社のサービスサイトをご覧ください。
3.ITSMを実践するメリット
ITSMを実践することで、組織のIT運用を大きく改善できます。
ここでは、ITSMを実践することで企業が得られるメリットを3つ解説します。
3-1.ITサービスの品質向上
ITSMを活用することで、ITサービスの品質は大幅に向上します。
サービス提供のプロセスが標準化されることで、一貫性が高まり、エンドユーザーに安定したサービスを提供できるようになるのです。
これにより、ユーザー満足度が向上し、ビジネス全体のパフォーマンスも改善されます。
3-2.ヘルプデスクの負担軽減
ITSMツールを活用することで、ヘルプデスクの業務効率が大幅に向上します。
問い合わせへの対応手順が体系化されることで、担当者は迅速に対応できるようになります。
その結果、ヘルプデスクの負担が軽減され、より戦略的なコア業務に注力できるようになるでしょう。
コア業務とノンコア業務の違いや改善方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
3-3.インシデント対応の改善
ITSMにより、インシデント管理のプロセスが明確になります。
問題の検知から解決までの手順が標準化されるため、より迅速かつ効果的な対応が可能になります。
これにより、システムのダウンタイムが減少し、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。
4.ITSMツールの種類と選び方
ITSMツールとは、ITSMのプロセスを自動化するためのソフトウェアのことを指します。
ITSMの実践には、ITSMツールの導入も効果的です。ここでは、ITSMツールの導入検討時に押さえておくべきポイントを、簡潔に説明します。
4-1.ITSMツールの種類
ITSMツールには主に以下2つの種類があります。
- 多様な機能をひとつのパッケージにまとめた「オールインワン型」
- 特定の機能に特化した「機能特化型」
オールインワン型は包括的な管理が可能ですが、機能特化型は特定の課題に焦点を当てた機能が中心です。
組織のニーズに応じて、適切なタイプを選択してください。
4-2.ITSMツールの比較ポイント
ITSMツールを選ぶ際は、組織の規模や要件に合わせて検討することが重要です。
大規模な組織では、統合的な管理が可能なオールインワン型が適している場合が多いです。
一方、中小規模の組織や特定の課題に取り組みたい企業の場合は、機能特化型が適している可能性が高いでしょう。
また、使いやすさやカスタマイズ性、ベンダーのサポート体制なども重要な選択基準となります。
ITSMツールを導入する際は、組織の現状と将来の成長を見据えて、最適なツールを選択しましょう。
5.ITSMの効果的な実践に向けて
ITSMは、情報システム部門がビジネス価値を創出するための重要なフレームワークです。
その基本概念を理解し、プロセスを適切に実践することで、ITサービスの品質向上が図れます。
一方で、ITSMの実践には専門的な知識やリソースが必要で、すべてを自社で対応するのは難しい場合があります。
そこで、サン・エム・システムの「OA環境ヘルプデスクサービス」の活用をおすすめします。
弊社のヘルプデスクサービスでは、サービスデスクやアカウント管理、デバイス管理、セキュリティ対応など、企業のITSMのあらゆる要素をサポートしています。柔軟なチケット制を採用しているため、繁忙期の依頼にも迅速に対応可能です。
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【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。