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RPAとAIの違いとは?組み合わせて活用する業務改革を解説

RPAとAIの違いとは?組み合わせて活用する業務改革を解説
DX

 多くの企業でDX推進が進むなか、RPAとAIという2つの技術が注目を集めています。実際に経済産業省の調査によれば、国内企業におけるRPA導入率は年々上昇傾向にあり、AIとの組み合わせによる高度な業務改革への関心も高まっています。
しかし、「それぞれの違いがわからない」「どのように活用すべきか迷っている」という声も多く聞かれます。本記事では、ビジネスの意思決定者やシステム導入を検討されている方に向けて、RPAとAIの基本的な違いから効果的な組み合わせ方まで解説します。

DX推進について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
DX推進計画とは?企業が着実な変革にいたるための進め方とポイントを解説
中小企業がDXを避けるわけにはいかない理由とは?
日本におけるDXの状況とは?事例や成功のポイントも解説

  • RPAとAIの違いや効果的な組み合わせ方を知りたい方
  • RPAやAIの導入を検討しているが、技術的な知識や導入ステップについて体系的に理解したい方
  • システム導入の実務的なポイントやリスク管理方法、効果測定の方法を知りたい方

1.RPAとAIの違い

業務自動化のツールとして注目されるRPAとAIですが、その特徴と活用方法には大きな違いがあります。これらの技術を効果的に活用するためには、それぞれの特性を正しく理解することが重要です。

1-1.RPAの特徴と得意分野

 RPAは人間の定型作業を自動化するソフトウェアロボットです。データ入力や転記作業など、決められたルールに従う業務を正確に実行できます。特に経理や人事といったバックオフィス業務での活用が進んでおり、作業時間の大幅な削減に貢献しています。

1-2.AIの特徴と得意分野

 AIはデータから学習して判断を行う技術です。画像認識や予測分析など、人間のような判断が必要な業務を得意とします。ビッグデータの分析や自然言語処理による文書の理解など、従来は人間にしかできなかった高度な判断業務を支援します。

1-3.導入・運用における違い

 RPAは比較的短期間・低コストでの導入が可能な一方、AIは専門知識と時間を要します。RPAは請求書入力やデータ転記といった定型作業の自動化を担い、AIは画像認識や需要予測といった、高度な判断を必要とする業務を担当します。運用面では、RPAは定期的なシナリオの更新とメンテナンスが必要です。一方、AIは継続的な学習データの収集と精度向上のための調整が重要となります。これらの特性を理解し、自社の状況に応じた導入計画を立てることが成功への鍵となります。

1-4.導入コストと人材育成

 RPAとAIの導入には、ツール費用だけでなく、人材育成のコストも考慮が必要です。導入と同じように、RPAは比較的短期間での技術習得が可能ですが、AIは専門知識を持つ人材の確保や育成に時間を要します。特にAIの運用では、データサイエンティストやエンジニアの育成が重要となるため、中長期的な人材戦略とセットで検討する必要があります。

人材育成について詳しくは、下記もご覧ください。
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1-5.セキュリティ対策と法的考慮事項

 RPAとAIの導入には、適切なセキュリティ対策と法的対応が不可欠です。RPAでは業務システムへのアクセス権限管理や操作ログの保管、AIでは個人情報保護やデータの取り扱いに関する法令遵守が重要となります。特に、AIによる判断を業務に活用する際は説明責任や公平性の確保にも配慮が必要です。

2.RPAとAIの組み合わせ活用

両方の技術を組み合わせることで、より高度な業務改革が実現できます。それぞれの長所を生かした連携により、業務効率の大幅な向上が期待できます。

2-1.基本的な組み合わせパターン

 AIによる判断とRPAによる実行を組み合わせることで、人間の判断と作業の両方を必要とする複雑な業務も自動化できます。例えば、手書き文字を含む請求書処理では、AIが文字認識と内容理解を行い、RPAがその情報を基に会計システムへの入力から承認依頼までの一連の作業を自動実行します。

2-2.具体的な活用シーン

 カスタマーサポートでは、AIがメールやチャットの問い合わせ内容を分析し、適切な回答候補を生成します。RPAがその回答を顧客に送信し、CRMシステムに対応履歴を記録することで、対応品質の向上と業務効率化を同時に実現します。

在庫管理では、AIが過去の販売データから季節変動を考慮した需要予測を行い、RPAが適正在庫を維持するための発注処理から取引先への発注連絡までを自動的に実行します。これにより、在庫の最適化と業務負荷の軽減が可能となります。

人事部門では、AIが従業員の勤務パターンを分析し、RPAが最適なシフト表を作成して関係者への通知まで行います。労務管理の効率化と働き方改革の推進に貢献します。

営業部門では、AIが顧客データを分析して最適な提案タイミングや商品を予測し、RPAが営業資料の作成から顧客へのメール配信までを自動化します。これにより、営業担当者は顧客との直接的なコミュニケーションに注力できるようになります。

製造部門では、AIが生産設備のセンサーデータから異常予兆を検知し、RPAが保守作業指示の発行から部品発注までを自動的に処理します。予防保全による設備稼働率の向上と保守業務の効率化を実現します。

2-3.プロジェクト管理のポイント

 RPAとAIを組み合わせたプロジェクトでは複数のシステムや技術が関わるため、以下の点に注意が必要です。

・システム間連携の設計

RPAとAIのシステムの連携では、データの受け渡しや処理の順序を詳細に設計することが重要です。データフォーマットの標準化や処理タイミングの最適化を行い、システム全体の負荷分散を考慮します。また、システム障害に備えたバックアップとリカバリー手順も確立しておく必要があります。

・エラー処理の設計

AIの判断結果が不確実な場合や、RPAの処理が失敗した場合に備えた対応フローを事前に定義します。想定されるエラーの種類と重要度を分類し、人間による判断が必要なケースを明確にします。また、エラー発生時の通知ルールと代替処理手順を整備することで、業務の継続性を確保します。

・監視体制の構築

自動化された業務の実行状況を常時監視し、問題発生時に速やかに対応できる体制を整えることが重要です。リアルタイムモニタリングの仕組みを構築し、パフォーマンス指標とアラート基準を設定します。さらに、障害発生時の対応チームを編成し、迅速な問題解決を可能にします。

・品質管理プロセス

自動化された業務の品質を維持・向上させるため、テスト環境と本番環境を分離し、段階的なリリース計画を立案します。定期的な精度評価を実施し、必要に応じて改善を行うサイクルを確立します。特に、AIの判断精度とRPAの処理精度の両面から品質を評価することが重要です。

・変更管理手順

業務プロセスやシステムの変更に柔軟に対応できる体制を整えることも重要です。変更による影響範囲を適切に評価し、承認プロセスを経て実施します。また、変更履歴を適切に管理し、必要に応じて以前の状態に戻せるよう、ロールバック手順も整備しておきます。

このように、RPAとAIを組み合わせたプロジェクトでは、技術面だけでなく、運用面でも綿密な計画と管理が必要です。これらのポイントを押さえることで、より安定的かつ効果的なシステム運用が可能となります。

3.導入に向けた実践ステップ

効果的な導入のためには、現状分析から段階的に進めることが重要です。システムの技術的な要件だけでなく、組織全体での取り組みとして推進することで、より大きな成果が期待できます。

3-1.業務の可視化と計画

 現在の業務フローを整理し、自動化可能な工程を特定します。効果測定の指標を設定し、具体的な導入計画を立案します。特に、現場の意見を取り入れながら、実現可能な目標設定を行うことが重要です。

3-2.段階的な導入プロセス

 小規模な実証実験から始め、効果を確認しながら対象業務を拡大します。成功事例を基に、他部門への展開を進めていきます。各段階での課題や学びを次のステップに活かすことで、より効果的な導入が可能となります。
企業の段階的な変革について詳しくは、下記もご覧ください。
DX推進計画とは?企業が着実な変革にいたるための進め方とポイントを解説

4.自社課題の整理と解決へのアプローチ

ツールの選定の前に、まず解決すべき経営課題を明確にすることが重要です。技術導入は目的ではなく、経営課題解決のための手段として位置づけることが成功への近道となります。

4-1.課題整理のポイント

 部門ごとの業務上の困りごとを具体化し、優先順位をつけていきます。コスト、時間、品質など、多角的な視点で課題を評価することが大切です。現場の声を丁寧に拾い上げ、真の課題を特定することで、効果的な解決策を見出すことができます。 社内での課題整理については、下記もご覧ください。
社内DXとは?必要な理由や進め方、成功事例について解説

4-2.適切なソリューションの選択

 整理された課題に対して、最適なソリューションを選定します。例えば、単純な定型作業の自動化にはRPAが適していますが、取引先ごとに異なるフォーマットの請求書処理にはAIとRPAの組み合わせが効果的です。 また、社内コミュニケーションの改善といった課題は、必ずしもツール導入だけでは解決できず、業務プロセスの見直しが必要な場合もあります。投資対効果(ROI)や導入後の運用負荷も考慮し、総合的に判断することが重要です。 RPAやAIツールの選定では、以下の点を重視します。

  • 導入実績とサポート体制
  • 他システムとの連携性能
  • カスタマイズの柔軟性
  • ライセンス体系と費用対効果
  • トレーニングプログラムの充実度

特に、自社の IT インフラや既存システムとの相性を十分に検証することが重要です。

4-3.効果測定とKPIの設定

 RPAとAIの導入効果を正確に測定するために、以下のような指標を設定します。

定量的指標

作業時間の削減率、エラー率の低減、コスト削減額など、数値で測定可能な指標を設定します。

定性的指標

従業員の満足度、顧客サービスの品質向上など、数値化が難しい効果も評価します。

長期的な効果

業務プロセスの改善や、新しい価値創造につながる可能性も考慮に入れます。

4-4.変化管理とコミュニケーション

 RPAとAIの導入は、単なる技術導入以上に、組織全体の変革を伴います。以下の点に注意を払いましょう。

  • 社内への十分な説明と理解促進
  • 現場からの懸念への丁寧な対応
  • 成功事例の共有による機運醸成
  • 継続的な改善提案の収集と反映
  • 従業員のスキルアップ支援

特に、自動化による業務変革に対する不安を払拭し、新しい働き方への移行をスムーズに進めることが重要です。

4-5.専門家への相談

 外部の専門家による支援を活用し、戦略的なIT活用を検討します。特に、DXアドバイザーは業務プロセスの可視化から技術選定まで、包括的な支援を提供できる専門家です。単なる技術導入に留まらず、経営戦略と整合性のとれたDX推進を実現するためにも、経験豊富なアドバイザーに相談することをお勧めします。 外部の専門家について詳しくは、下記もご覧ください。
DXアドバイザーとは? 企業に必要な理由、確保の方法、試験概要などを解説
DXコンサルとは?役割や仕事内容、依頼するメリット・デメリットを解説

5.まとめ:効果的な業務改革の実現に向けて

RPAとAIの活用は、業務改革の有効な手段の1つですが、導入前の準備と適切な支援が成功のカギとなります。技術導入を目的化せず、経営目標の達成に向けた手段として位置づけ、段階的なアプローチで進めることが重要です。経営層から現場まで、全社的な理解と協力を得ることも不可欠です。 こうした業務改革は、外部の専門家に相談することでより進めやすくなります。経験豊富な専門家のサポートを受けることで、より確実に目標達成へと近づくことができるでしょう。

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