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営業DXとは?デジタル化との違いや3つの導入ステップ、成功事例を解説

営業DXとは?デジタル化との違いや3つの導入ステップ、成功事例を解説
DX

 近年、多くの企業で「営業DX」の重要性が注目されています。特に営業部門の管理職には、従来の営業手法を維持しながら、デジタル技術を活用した営業改革を推進することが求められています。本記事では、営業DXの本質から具体的な進め方まで、実践的な視点で解説します。

  • 営業部門で管理職を担当している方
  • 営業部門のDX推進を検討している方
  • DXの具体的な進め方について知りたい方

1.営業DXとデジタル化の本質的な違いとは

デジタル化への取り組みが加速する中、単なるデジタル化とDXは明確に区別する必要があります。

1-1.デジタル化(デジタイゼーション)の特徴

 デジタル化とは、紙の営業日報のデジタルフォーム化や対面商談のオンライン化など、既存の業務プロセスをデジタルに置き換えることを指します。しかし、これらは部分的な効率化に留まり、真の競争力向上には至りません。

1-2.営業DXの特徴

 一方、営業DXは、データとデジタル技術を活用して営業プロセス全体を見直し、新たな顧客価値を創造する取り組みです。顧客データの分析による購買予測やAIを活用した商品レコメンデーションなど、データドリブンな意思決定と価値創造を実現します。
この本質的な違いを理解することで、価値のある営業改革を推進することが可能となります。

DXとデジタル化の違いについて詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
「DXとデジタル化の違いとは?取り組みに向けて理解しておきたい基本の考え方」

2.なぜ今、営業DXが必要とされているのか

営業DXが求められる背景には、市場環境の変化と営業現場における深刻な課題があります。

2-1.市場環境の変化

 コロナ禍を契機としたデジタルシフトにより、顧客の購買行動は大きく変化しました。オンラインでの情報収集が購買の起点となり、非対面での商談が一般化しています。さらに、デジタルチャネルを活用した新規参入企業の増加により、競争環境も激化しています。

2-2.営業現場の課題

 多くの企業が、営業現場において以下のような課題を抱えています。

  • 営業担当者の経験やスキルへの過度な依存
  • 商談プロセスや顧客接点情報の可視化不足
  • データに基づく戦略的な意思決定の困難さ

日本国内におけるDXの取り組み状況については、以下の記事で詳しく解説しています。
「日本におけるDXの状況とは?事例や成功のポイントも解説」

3.営業DX推進の3つの導入ステップ

営業DXの推進は、基盤構築、業務改革、変革実現という3つのステップで段階的に進めることが効果的です。

3-1.Step 1: 基盤構築(デジタイゼーション)

 まずはCRMやSFAを導入し、顧客データの一元管理と営業活動の可視化基盤を整備します。この段階では、日報のデジタル化や顧客情報の統合など、基本的なデジタル環境の構築に注力します。

3-2.Step 2: 業務改革(デジタライゼーション)

 次に、デジタルツールを活用したプロセスの効率化を図ります。商談のオンライン化や提案書・見積作成の自動化により、営業活動の生産性を向上させます。

3-3.Step 3: 変革実現(トランスフォーメーション)

 3つ目のステップでは、蓄積されたデータを活用し、予測分析による戦略立案や新たな営業モデルの創出を目指します。AIによる商談確度予測や、カスタマージャーニーに基づく最適なアプローチ方法の確立などを実現します。

DXの進め方については、こちらの記事もご覧ください。
「DX推進計画とは?企業が着実な変革にいたるための進め方とポイントを解説」

4.業界別:営業DX成功事例から学ぶ実践ポイント

さまざまな業界での成功事例から、効果的な営業DXの実践ポイントを学ぶことができます。

4-1.富士通の事例

 富士通は、営業DXを通じて組織的な改革を実現しました。同社は年功序列を撤廃し、職務に応じた「ジョブ型制度」を導入。さらに、顧客とともにビジネス創出を行う「ビジネスプロデューサー」職を新設し、営業の役割を抜本的に見直しました。

デジタル面では、CRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援ツール)を統合し、顧客情報を一元管理する基盤を構築。これにより、商談活動支援や社内調整を担うインサイドセールス部隊を効果的に機能させることで、営業部門の役割を「商品販売」から「顧客との価値共創」へと進化させることに成功しました。

参照:営業DXとは?デジタル化との違いや導入方法まで解説【事例も紹介】|eセールスマネージャーRemix  

4-2.ミスミグループ本社の事例

 精密機械部品の製造販売を手がけるミスミグループ本社は、新設した営業・マーケティング組織で発生していた顧客フォローの「ムリ・ムラ・ムダ」という課題に対し、営業プロセスモデル「The Model」を導入しました。

このモデルにより営業プロセスを明確化し、クラウド型CRM「Sales Cloud」による情報の一元管理と、MAツール「Account Engagement」によるOne to Oneマーケティングを実現。その結果、顧客獲得数は4倍に増加し、リピート顧客の増加にも成功しています。

参照:営業DXとは?最初にやるべき3つのことと2つの成功事例を解説|salesforce

4-3.神戸製鋼所の事例

 神戸製鋼所は「お客様対応DX」の一環として、全社横断的な顧客データベースの構築に取り組みました。クラウド型の名刺管理サービスを導入し、90万件以上の顧客情報を統合。これにより、営業担当者の異動や退職時の情報引継ぎがスムーズになり、過去の顧客接点情報を活用した効果的な営業活動が可能になりました。

さらに、メール配信業務の効率化により年間約4,000時間の工数削減を実現し、この時間を直接的な顧客対応に振り向けることで、顧客サービスの質の向上にも成功しています。

参照:Sansanを利用することで全社で横串を通した顧客データベースが構築されました 株式会社神戸製鋼所|sansan

これら3社の事例から、営業DXの成功には、組織体制の見直し、業務プロセスの標準化、データの一元管理と活用等の要素が重要であることが分かります。

5.営業DX推進で避けるべき3つの失敗パターン

営業DXの推進では、典型的な失敗パターンを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

5-1.ツール導入に終始するケース

 経営戦略との整合性を欠いたツール導入は、投資対効果を得られなかったり、現場の混乱を招いたりする可能性があります。まずは目的を明確にし、必要な機能を見極めることが重要です。

DXの推進については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
「DX推進の課題とは?その解決の方法を解説」

5-2.現場の巻き込み不足

 トップダウンの一方的な推進は現場の反発を招く可能性があります。パイロット展開による効果実証と、丁寧な説明を通じて、現場の理解と協力を得ることが不可欠です。

5-3.データ活用の形骸化

 データ品質管理の不備や分析人材の不足により、せっかく集めたデータが活用されないケースが多発しています。データ品質の管理体制構築と分析人材の育成が重要です。

DX人材について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
「DX人材とは?求められる役割や必要とされる理由、人材確保の方法」

6.実践:営業DX成功のための5つのポイント

営業DXの成功には、組織全体での取り組みと継続的な改善が不可欠です。以下の5つのポイントを押さえることで、効果的な推進が可能となります。

6-1.Point 1. 経営層の強力なコミットメント

 トップの明確なビジョンと強力なリーダーシップが、組織全体の変革を推進する原動力となります。経営層は、DXの目的や期待される効果を明確に示し、必要なリソースの確保と意思決定の迅速化を図る必要があります。

6-2.Point 2. 現場を巻き込んだ推進体制構築

 現場の声を取り入れた実践的な推進体制により、持続可能な変革を実現します。営業現場のニーズや課題を的確に把握し、DX推進チームと営業部門が緊密に連携できる体制を整えることが重要です。

6-3.Point 3. 段階的な実施計画の策定

 無理のない段階的な計画により、確実な成果の積み上げと組織への定着を図ります。短期的な成果を示しながら、中長期的な目標達成に向けて着実に前進できるロードマップを策定することがポイントです。

6-4.Point 4. 継続的な効果測定と改善

 定期的な効果測定と改善サイクルの確立により、持続的な進化を実現します。KPIを設定して効果を可視化し、PDCAサイクルを回すことで、施策の効果を最大化することができます。

6-5.Point 5. 人材育成の強化

 デジタルスキルと営業スキルの両面で、継続的な人材育成を行うことが不可欠です。新しいツールやプロセスの研修だけでなく、データ分析力やデジタルマーケティングなど、これからの営業に必要な複合的なスキル開発を計画的に実施します。

人材育成について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
「人材育成とは?基本の意味や目的から主な育成方法、ポイントまで徹底解説」

7.まとめ:営業DXの成功に向けて

 営業DXは、データとデジタル技術を活用した戦略的な営業改革です。本記事で解説した導入ステップと実践ポイントを参考に、自社の状況に合わせた形で推進しましょう。

 サン・エム・システムのDXアドバイザーサービスは、豊富な支援実績をもとに、企業のDX推進をトータルでサポート。IT助言・提言サービスから、現状把握、戦略策定、システム化支援、人材育成まで、各社の課題に応じた包括的なソリューションを提供しています。自社のDXと働き方改革の推進をお考えの皆様は、お気軽にサン・エム・システムへご相談ください。

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