⌚ 2024/10/22 (Tue) 🔄 2024/12/ 3 (Tue)
DXアドバイザーとは? 企業に必要な理由、確保の方法、試験概要などを解説
デジタル技術の急速な進歩により、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えています。そして今、その推進役として注目を集めているのがDXアドバイザーです。
本記事では、DXアドバイザーの基本や試験概要、企業がDXアドバイザーを確保する方法などをわかりやすく解説します。DXアドバイザーについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- DXアドバイザーについて知りたい方
- 自社のDX化を検討している方
- DX推進役の必要性について知りたい方
1.DXアドバイザーとは
まずは、DXアドバイザーについて押さえておきたい基礎知識を解説します。
1-1.DXアドバイザーの役割
DXアドバイザーはその名のとおり、組織のDXについて助言・支援をする専門家です。検定試験に合格し、第三者機関の認定を得ることで、DX推進に必要な幅広い知識とスキルを備えていると認められた人材を指します。
DXアドバイザーを認定する一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会では、DXアドバイザーの役割・使命を以下のように定めています。
「DXアドバイザーは、豊富な知識と多様な経験を生かして、適切なアドバイス・サポートを行い、事業者のDX推進の基盤支援を担うことが主な使命です。」
DXの基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。
DXとデジタル化の違いとは?取り組みに向けて理解しておきたい基本の考え方
1-2.DXアドバイザー検定とは
DXアドバイザー検定は、2022年に開始された比較的新しい資格試験制度です。この検定は、DXを推進するために必要な知識、実務スキル、そして実践的な知見を評価し、それらの能力を公式に認定することを目的としています。
検定には3つのレベル(アドバイザーランク)が設定されており、スペシャリスト、エキスパート、プロフェッショナルがあります。2024年時点ではスペシャリストの試験のみが実施されており、そのほかは準備中となっています。
検定の合格者は、その後DXアドバイザーとして認定を受けるための申請を行う必要があります。この手続きを経て、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会の認定を受けたDXアドバイザーには、専用の認定ロゴを使用する権利が与えられます。さらに認定を受けると、DXに積極的に取り組む企業の証である「DXマーク認証」の取得を目指す事業者と個別契約を結び、DX推進をサポートすることができます。
ただしこの資格は永続的なものではなく、認定後は1年ごとに更新が必要です。これにより、DXアドバイザーが常に最新の知識とスキルを維持することが担保されています。
1-3.DX推進アドバイザーとの違い
DXアドバイザーとDX推進アドバイザーは、名称が似ているため混同されることがありますが、実際には明確な違いがあります。
まず、アドバイザーの認定機関が異なります。DX推進アドバイザーは一般財団法人全日本情報学習振興協会が、DXアドバイザーは一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会が認定する資格です。
また、DX推進アドバイザーは比較的難易度が低く、DXの基礎知識を中心に出題される傾向がありますが、DXアドバイザーはより実践的な知識やスキルが求められます。
そして認定方法にも違いがあります。DX推進アドバイザーは、DX推進アドバイザー認定試験に合格すれば、追加の申請なしに資格が得られます。一方、DXアドバイザーは検定合格後、別途認定手続きが必要です。この手続きを経ることで、企業のDX推進を公式にサポートできる点が大きな違いといえるでしょう。
2.DXアドバイザーが注目される理由
DXアドバイザーが注目される背景としては、以下のような社会情勢があります。
2-1.DXの必要性の高まり
経済産業省が公表したDXレポートでは、企業がDXを推進しないままでいた場合、2025年以降最大で年間12兆円もの経済的損失が生じる可能性があるとされました。この「2025年の壁」やデジタル技術の発展を背景に、DX推進の重要性が増すなかで、DXアドバイザーの存在意義も年々増していると考えられます。
参考:経済産業省|DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
2-2.DX人材の不足
経済産業省の調査によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています。少子高齢化による労働人口の減少も相まって、特に、DXアドバイザーのような高度な知識と技能を持つDX人材の市場価値が高まっているのです。
DX人材に求められるスキルや育成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
DX人材とは?求められる役割や必要とされる理由、人材確保の方法
DX研修とは?未来に向けた企業成長の軸となる人材を育成するために
3.DXアドバイザー検定(スペシャリスト)の概要
ここでは、DXアドバイザー検定(スペシャリスト)の概要を紹介します。自身で受験を考えている方はもちろん、従業員の人材育成を考えている企業担当者の方も、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.受験日
受験は年末年始を除き、年間を通じて実施されています。
3-2.受験方法
予約した日時にテストセンターで受験できます。出題形式は、コンピューター上で行われるCBT方式です。試験開始前に操作方法の案内がなされます。
3-3.試験内容
試験時間は90分です。試験範囲は、ITリテラシー(24問)、DXリテラシー(24問)、ビジネスアナリシス(8問)、情報マネジメント(24問)の4分野にわたります。
3-4.受験料・受験資格
受験料は税込みで10,000円です。受験資格は特に設けられていません。
3-5.合格基準・合格率
問題の正答率70%以上が合格基準となります。
2022年1月28日~2023年6月15日の結果によると、合格率は平均60.8%です。年代別でみると、受験者全体の半数を20~30代が占めていますが、60代の合格率が81.0%と最も高くなっています。
3-6.勉強方法
ITやDXに関する基礎知識はもちろん、企業経営や個人情報保護についても幅広く学習することが重要です。Web問題集や書籍などの公式の学習教材を使用し、知識の定着度合いを確認しながら勉強すると効率が良いでしょう。
なお、ここで紹介した内容は2024年9月時点のものです。試験を受ける際は、以下公式サイトの内容を事前に確認してください。
参考:一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会|DXを推進できる人材になるための DXアドバイザー検定
4.DXアドバイザー取得のメリット
DXアドバイザーの資格取得は、個人と企業の双方に大きな利点をもたらします。
4-1.個人(従業員)のメリット
- リスキリング
まず、個人にとって大きなメリットは効果的なリスキリングの機会となることです。DXアドバイザー資格の取得は、デジタル時代に対応した新たなスキルや知識を習得する機会となり、キャリアの可能性を大きく広げることが期待できます。
DXに欠かせないリスキリングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
DXにつながるリスキリングとは?実施のメリットや手順、企業の成功事例を紹介 - 市場価値の向上
また、DX人材の需要が高まるなか、この資格を持つことで個人の市場価値が向上します。企業がDX推進に力を入れている現在、DXの知識とスキルを証明するこの資格は、キャリアアップや転職の際に大きな強みとなるでしょう。
4-2.企業のメリット
- DX推進の加速
企業にとっても、DXアドバイザーを擁することには大きな利点があります。まず、DXを進めやすくなることが挙げられます。資格を持つ従業員がいることで、企業はより効果的なDX戦略を立案・実行できるようになるでしょう。
- 人材育成・DXリテラシーの向上
また、人材育成の面でも大きな効果が期待できます。DXアドバイザーの知見を社内で共有することで、体系的なDX人材を育成できます。さらに、DXアドバイザーの存在は、社内全体のDXリテラシー向上にも寄与するでしょう。
5.企業がDXアドバイザーを確保する方法
企業がDXアドバイザーを確保するには、主に2つの方法があります。
5-1.社内人材の育成
一つ目の方法は、自社の従業員を育成することです。IT部門の人材やDXに興味を持つ人材に対し、DXに関する研修やスキルアップの機会を提供することで、DXアドバイザーとして成長させます。この方法のメリットは、自社の事情に精通した人材を育てられることです。ただし、時間と投資が必要になる点には注意が必要です。
5-2.外部ベンダーの活用
二つ目の方法は、外部の専門家を活用することです。自社での人材育成が難しい場合や、即戦力が必要な場合に有効です。DXコンサルティング企業やITベンダーなど、外部のDXアドバイザーに自社のDX推進を依頼することで、より確かな専門知識を享受できます。
ベンダーの選定の際は、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会が正式に認めた「DXマーク認証支援事業者」から選ぶことをおすすめします。
6.DXアドバイザーは企業のDX推進に不可欠
DXアドバイザーは、急速に変化するデジタル時代において、企業の競争力を維持・向上させるための重要な役割を担っています。企業がDXを成功させるためには、適切なDXアドバイザーの確保と効果的な活用が不可欠といえるでしょう。自社のニーズと状況を見極め、計画的にDXアドバイザーを活用しながら自社のDXを進めてください。
サン・エム・システム株式会社は、「DXマーク認定支援事業者」として企業のDX推進を包括的に支援しています。企業の経営ミッション実現に向け、弊社のDXアドバイザーが伴走しながら、戦略策定やDX人材育成などのあらゆるサービスでDX推進をサポートいたします。
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【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。