⌚ 2024/2/ 1 (Thu) 🔄 2024/3/20 (Wed)
SaaS、PaaS、IaaSとは?定義や違い、サービスの例を紹介
DX推進に関心を寄せるなかで、「SaaS」「PaaS」「IaaS」といった名称を耳にするようになった人も多いのではないでしょうか。これらはDXの大きな要素であるクラウドサービスの種類です。意味や違いを明確に理解していないと、自社への導入に際して正しい判断をするのが難しくなります。今回は「SaaS」「PaaS」「IaaS」の基本知識とその違い、具体的なサービスを紹介します。
- クラウドサービス利用者
- アプリケーション開発者
- 経営者
1.そもそもクラウドとは
クラウドとは、ネットワーク経由で、サーバー・ストレージなどのITリソースや、アプリケーションソフトウェアなどを利用できるサービス形態です。
クラウドユーザーは、クラウドサービス提供事業者と利用内容について契約し、必要なITリソースを割り当てられます。契約後、ユーザーはネットワークを通じて、必要な分だけのサービスを受けられます。
クラウドサービスの仕組みは、シンプルでありながら、ビジネスにとって非常に効果的です。クラウドサービスを利用することで、ユーザー側は以下のようなメリットを得られます。
➢ 初期費用や運用コストの削減
自社でITリソースを用意する場合、ITインフラの整備やアプリケーションの購入などの初期費用や運用コストがかかります。クラウドサービスでは、事業者側がITインフラ基盤やアプリケーションを提供するためコストの軽減が可能です。
➢ 拡張性や柔軟性の向上
自社独自で運用する場合は、業務上必要なリソースの量を予測して用意しなければなりません。クラウドサービスを利用すれば、必要なリソースをニーズに応じて必要な分だけ利用することができます。
➢ 専門知識やスキルの不要化
社内でITインフラの構築やサーバーの整備をする場合、ITの専門知識やスキルが必要になります。クラウドサービスを活用すれば、高度な知識や技術を持つ人材がいなくても業務に必要なリソースを利用できます。
クラウドサービスには大きく分けて、SaaS、PaaS、IaaS という3つの提供形態があります。以下の章では、これらのサービスについて詳しく説明します。
2.SaaS、PaaS、IaaSとは
上記で示した3つのサービスを解説します。
2-1.SaaS(Software as a Service)
SaaSはSoftware as a Serviceの略称で、略称の読み方は「サース」もしくは「サーズ」です。
SaaSはソフトウェアをサービスとして提供しており、利用者はソフトウェアのインストールや管理、運用などをクラウド事業者に任せることができます。
2-2.PaaS(Platform as a Service)
PaaSはPlatform as a Serviceの略称で、略称の読み方は「パース」です。
PaaSは主にアプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを提供します。利用者はサーバーやストレージ、データベース、OSやミドルウェアなどのITインフラや、開発ツールなどを利用できます。
2-3.IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSはInfrastructure as a Serviceの略称で、略称の読み方は「イアース」や「アイアース」です。
IaaSはサーバーやストレージ、ネットワークなどの主なITインフラ全般を提供しており、利用者は必要なリソースを必要な分だけオンデマンドで利用できます。
3.SaaS、PaaS、IaaSの主な違い
SaaSは主に、エンドユーザー向けのサービスを扱っています。PaaSはアプリケーション開発に必要なリソースを提供するのに対し、IaaSはネットワークやサーバー(CPU・メモリ・ストレージ)などのコンピューティングリソースを提供します。
3つのサービスの主な違いは以下のとおりです。
提供形態 | クラウド事業者が提供するサービスの範囲 | 主なユーザ | 利用難易度 | コスト |
SaaS | ソフトウェア | 全従業員 | 低 | 安い |
PaaS | プラットフォーム | 開発者・技術者 | 中 | 中 |
IaaS | インフラ | 開発者・技術者 | 高 | 高い |
4.SaaS、PaaS、IaaSのサービス例
SaaS、PaaS、IaaSを提供している具体的なサービスの例としては、以下があります。
4-1.SaaSのサービス例
➢ メール:Gmail(Google)、Outlook(Microsoft)、Yahoo!メール(Yahoo! JAPAN)
➢ グループウェア:Microsoft Teams(Microsoft)、Slack(Slack Technologies)、Chatwork(Chatwork)、LINE WORKS(LINEヤフー)
➢ 顧客管理システム:Salesforce(Salesforce)、kintone(サイボウズ)、Zoho CRM(Zoho)
➢ オンラインストレージ:Google Drive(Google)、OneDrive(Microsoft)、Box(Box)、Dropbox(Dropbox)
➢ 会計ソフト:freee(freee)、弥生会計(弥生)、MFクラウド会計(マネーフォワード)
➢ 人事管理システム:SmartHR(SmartHR)、ジョブカン(DONUTS)、カオナビ(カオナビ)
4-2.PaaSのサービス例
➢ 開発ツール:AWS Elastic Beanstalk(Amazon)、Azure App Service(Microsoft)、Google App Engine(Google)
➢ データベース:Amazon Relational Database Service(Amazon)、Azure SQL Database(Microsoft)、Google Cloud SQL(Google)
➢ コンテナ:Amazon Elastic Container Service(Amazon)、Azure Kubernetes Service(Microsoft)、Google Kubernetes Engine(Google)
4-3.IaaSのサービス例
➢ 仮想マシン:Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon)、Azure Virtual Machines(Microsoft)、Google Compute Engine(Google)
➢ ストレージ:Amazon Simple Storage Service(Amazon)、Azure Blob Storage(Microsoft)、Google Cloud Storage(Google)
➢ ネットワーク:Amazon Virtual Private Cloud(Amazon)、Azure Virtual Network(Microsoft)、Google Cloud VPC(Google)、さくらのクラウド(さくらインターネット)
DX関連ツールについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考にしてください。
5.SaaS、PaaS、IaaSのメリット・デメリット
3つのサービスのメリット・デメリットを解説します。
5-1.SaaSのメリット・デメリット
➢ メリット
SaaSは一般的に、3つのサービスのうち初期費用や運用コストが最も安く、比較的導入が容易です。一般社員向けとして、専門知識やスキルがなくても利用でき、準備もほとんどの場合は必要ありません。
オンプレミスでインストールされるものとは異なり、常に最新の状態のソフトウェアを利用できるため、更新や買い替えといった手間も不要です。
セキュリティや可用性などの運用をクラウド事業者に任せられるので、自社の負担を極力抑えることができます。
➢ デメリット
カスタマイズ性が低いため、自社独自のアプリケーションの利用が難しいという点がデメリットです。
5-2.PaaSのメリット・デメリット
➢ メリット
自社で準備するのに比べ、初期費用や運用コストを抑えられ、開発環境の設計や管理の手間が省けることが大きなメリットです。
常に最新の状態のプラットフォームを利用できるほか、自社サーバーへの負荷がなく、セキュリティや可用性などの運用をクラウド事業者に任せられるため、安全度が高いのも魅力です。
自社のニーズに合わせたアプリケーション開発ができるという点から、SaaSに比べカスタマイズ性に優れています。
➢ デメリット
ある程度の開発はできますが、IaaSと比較するとカスタマイズの自由度には制限があります。セキュリティに関してはサービス提供事業者への依存度が高く、慎重なサービスの選定が求められます。
SaaSと同様に、データの所有権や管理がクラウド事業者に移る可能性があるため確認が必要です。
5-3.IaaSのメリット・デメリット
➢ メリット
環境のみが提供されるサービスであるため、使いこなすためには高い専門知識やスキルが必要です。カスタマイズの自由度が高い一方で、セキュリティや可用性などの運用を自社で行う必要がある点に注意が必要です。
➢ デメリット
レベルの高いITインフラが提供されるため、利用状況によってはコストがかさむ可能性があります。
6.SaaS、PaaS、IaaSの違いを知り賢い選択を
現在はさまざまな事業者により、多種多様なクラウドサービスが提供されているため、自社の状況に合わせた選択が求められます。例えば、アプリケーションソフトの利用のみにとどまる場合にはSaaS、ITインフラ構築の負担なく自社独自のアプリケーション開発をしたい場合にはPaaSという選択肢があります。
自社の状況を把握してサービスを見極めることや、導入について不安がある場合には、プロの知見を活用するのがおすすめです。DXアドバイザーでは、DX化についての幅広いアドバイス、サポートを行っています。ぜひご活用ください。
弊社では、DXに課題をお持ちの企業様に向けてDXアドバイザーサービスを提供しております。
DXに取り組みたいけど、どうすればいいか迷っている、時間が無くて困っているなどのお悩みの方はぜひサービスサイトをご確認ください。
【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。