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マーケティングDXとは?得られる効果と取り組み事例、注意点まで解説
DXはすでに社会のあらゆる領域まで浸透が見られますが、マーケティング領域においても同様です。
しかし、具体的にはどのようにDXを推進すべきか、DXによって何が得られるのかが今ひとつわからないということも考えられます。
今回はDXがマーケティングにどう活用されるのか、それによって得られるメリットは何かなど、
具体的な事例も交えてマーケティングDX推進へのヒントとなる情報をまとめてお伝えします。
- マーケティング戦略を進化させようとする企業の方
- マーケティングの企画・推進担当者
- DXへの関心をもつビジネス関係者
1.マーケティングにおけるDXとは
はじめに、DXの考え方とマーケティングにおけるDXの概要、デジタルマーケティングとの違いを解説します。
1-1.DXおよびマーケティングDXの概要
DX はDigital Transformationの略語で、デジタルによる変革を意味します。
組織や企業がデジタル技術とデジタル化へいたるプロセスを活用し、
組織としての在り方そのものやビジネスモデルを変革することで、
市場における競争力と経営の存続性を獲得するための取り組みです。
また、マーケティングDXとは、マーケティング戦略とその実践を
デジタルテクノロジーやデジタル化にいたるプロセスを活用して進化させることです。
以下のようなツールやテクノロジーの導入により、マーケティング戦略の柔軟性と効果を向上させることができます。
- Webサイト、ソーシャルメディア、電子メール、アプリケーションなどのデジタルプラットフォームの活用
- データ分析を用いたターゲット市場の特定とアプローチ法の策定
- マーケティングプロセスの自動化やAIを活用した提案力の強化
- 分析ツールや電子商取引ソリューション
1-2.デジタルマーケティングとの違い
デジタルマーケティングは、マーケティングDXの一部として位置づけられます。
デジタルマーケティングでは、多様なデジタルチャネル(Webサイト、ソーシャルメディア、電子メール、検索エンジンなど)を使用して
顧客への効果的なアプローチ、デジタル広告の最適化を行います。
デジタルマーケティングの主な目標となるのは、オンラインでの広告効果の最適化、
ウェブトラフィックの増加、コンバージョン率の向上、顧客獲得、リテンションの改善などです。
これらの目標を実現するために、具体的な数字や指標に焦点を当てていきます。
一方、マーケティングDXは、
より広範で包括的なアプローチにより、組織全体に及ぶ変革を推進する取り組みです。
顧客関連にとどまらず、組織全体がデジタルテクノロジーを活用してマーケティング戦略の在り方を変えることを目指します。
データにもとづく意思決定を行いながら、
デジタルテクノロジーを活用して新しい価値を提供します。
さらに、組織全体の戦略的な成長を支え、顧客体験を向上させることで永続的な利益に結びつけることが、マーケティングDXの目標です。
デジタルマーケティングが各プロセスにおけるテクノロジーの活用であるのに対し、
マーケティングDXは全体的な在り方に変革をもたらし、
事業による永続的な利益獲得により企業の未来を支えます。
2.マーケティングDXで得られる効果
マーケティングDXを活用することで、以下の点が可能になります。
2.1.マーケティング施策の精度の向上
マーケティングDXにより、データ分析を活用し、消費者の嗜好や行動に関する精度の高い情報をもとに
ニーズや好みの細分化に合わせてカスタマイズされたコンテンツやキャンペーンを提供できるようになります。
個々の顧客に対してパーソナライズされたメッセージを送ることで、より高い関心を引き出すことが期待できるでしょう。
さらに、各デジタルマーケティング施策の結果をリアルタイムで追跡・評価しながら改善、修正軌道を行うことで効果を向上させていきます。
2-2.効率化
マーケティングDXにより、マーケティング業務に関わる作業の効率化にもつながります。
例えば、電子メールマーケティングの自動化ツールの使用など、
ルーチンのタスクやプロセスを自動化することで時間や手間を削減しながら、マーケティング施策を実施することが可能です。
また、データにもとづいた客観的な判断により、広告予算や社内リソースを効果的に配分し、ムダな費用を削減します。
さらに、限られたリソースを最も効果的なチャネルや戦略に集中させることができます。
2-3.市場ニーズへの迅速な対応
リアルタイムのデータ分析を活用して、市場トレンドや顧客の反応を迅速に把握することも可能です。
マーケットフィードバックにもとづいて戦略を修正し、顧客ニーズに合わせた変更を柔軟に実施していくことで、市場競争力の維持と事業の成長性に貢献します。
2-4.グローバル展開のサポート
マーケティングDXを活用することで、異なる地域や言語でのカスタマイズが容易になり、広域にわたる市場の分析が可能です。
広域なデータの収集は、国際市場での展開を視野にいれた事業拡大のサポートとなります。
3.マーケティングDXの取り組み事例
マーケティングDXで成功が見られる具体的な事例を紹介します。
3-1.アプリで顧客体験向上【日本コカ・コーラ株式会社】
同社では、"Coke On"というモバイルアプリを通じて自販機と連動するマーケティング戦略を展開しています。
スマートフォンにアプリを設定することにより、小銭が足りなくて自販機でドリンクを買えないといった不便さを解消できます。
さらに、15本購入すると1本無料になるサービスや、自販機の利用によりスタンプをためて特典がもらえるといった仕組みを提供しました。
この施策により、顧客体験を大幅に向上させ、リピーターの増加と売上増につなげています。
3-2.ほかにはない買い物体験を提供:【U.S.M.H(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)】
スーパーマーケットチェーンを展開する同社では、
顧客体験の向上を目指し、オフライン(店舗)とオンライン(ECやアプリ)を融合させたマーケティングDXに注力してきました。
「Scan&Go」というアプリの導入により、顧客がスマホで商品をスキャンして購入し、キャッシュレス決済ができる機能を提供しています。
将来的にはアプリとEC(ネットスーパー)を連動させるなど、市場トレンドに合わせたサービスの提供も計画されています。
4.マーケティングDXの注意点
マーケティングDX実施に際して、注意すべきポイントを解説します。
・部分最適にならないようにする
DXは全体的な視点から推進することが大切です。
例えば、ECにばかり目を向けていると、店舗との間で利益相反が起こる場合があります。
偏りのないマーケティングDXとするためには、売上評価基準の見直しといった全体最適化できる仕組みづくりが必要です。
弊社では、DXに課題をお持ちの企業様に向けてDXアドバイザーサービスを提供しております。
ビジネス全体を通してDXジャーニーマップを作成し、DX化を支援することも可能となりますので、
DX化にお困りの方は下記よりサービスサイトをご確認ください。
・データの収集から分析、利活用までの一連のプロセスで考える
収集されたデータを効果的に活用できない場合、逆に業務効率を低下させる可能性があります。
マーケティングDXのデメリットとしては、業務内容が複雑化してしまうことが挙げられます。
膨大なデータの収集と集約・分析には非常な手間がかかり、高度な技術が求められますが、
具体的な活用につなげるアイデアに欠けていると意味がありません。
確実なDX推進につなげるためには、各データの利活用によってどのような成果を得たいのかを明確にしておくことが必要です。
・顧客側の視点を常に意識する
マーケティングDXにおいてデータは重要な軸となりますが、
最終的には顧客からの支持を継続して得られる事業効果が目的であることを忘れないようにすることが大切です。
対面営業などで得られた生の情報も軽視することなく良好な関係を築くため、
顧客側の視点を意識したマーケティングを心がけましょう。
顧客への丁寧な対応を実施しながら、自社が目指すマーケティングDXへの理解を求めていく必要があります。
5.まとめ:自社事業に貢献するマーケティングDXの推進
マーケティングDXはデジタルテクノロジーを活用し、マーケティング戦略そのものを改革していく取り組みです。
業務の一部をデジタル化するといった部分的な施策ではなく、顧客へのアプローチから売上促進、
顧客との関係性の維持といったすべてのプロセスを包括的に見直していく必要があります。
DXアドバイザーでは現在抱える事業課題、今後の企業戦略を把握しながら、
各企業に効果的なITに関するアドバイスを提供いたします。DX化戦略にお悩みの際にはぜひご相談ください。
【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。