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製造業のDXとは?必要性や課題から進め方、成功のポイント、事例まで徹底解説

製造業のDXとは?必要性や課題から進め方、成功のポイント、事例まで徹底解説
DX

 製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、生産性の向上や品質管理の強化、新たなビジネスモデルの創出など、多くの利点をもたらします。
本コラムでは、製造業におけるDXとは何かという点を踏まえ、取り組むべき理由や実現できること、進め方、成功させるポイントなどを解説しています。

  • 製造業企業の経営陣の方々
  • 製造業の現場担当者や従業員
  • DXにご興味のある企業や業界関係者

1.製造業におけるDXとは 

DXとは、Digital Transformationの略で、ビジネスや社会のあらゆる領域において、デジタル技術を活用して業務プロセスやサービスの変革を行うことを指します。 

あらゆる業種でDXが推進されていますが、製造業におけるDXとは、IoTデバイスやAIなどのデジタル技術を駆使してさまざまなプロセスのデジタル化・自動化を行い、生産性向上や業務効率化を実現することを意味します。最終的には、その取り組みを通じ、新たな製品やビジネスモデルを生み出し、企業競争力の強化を目指すものです。 

製造業DXで取り組むべきプロセスは、生産だけではありません。設計や開発、調達、品質管理、販売・マーケティング、保守など、すべての業務プロセスに関わります。

DXについて詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
DXとデジタル化の違いとは?取り組みに向けて理解しておきたい基本の考え方

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2.製造業DXが必要な背景

製造業におけるDXは、現代のビジネス環境において競争力を維持し、成長するために必要不可欠です。以下のような背景により、製造業DXの重要性はますます高まっています。

2-1.IT人材の不足

経済産業省の調査によると、IT人材の需要は今後も拡大を続ける一方で、日本の労働人口は減少傾向にあります。この結果、2030年にはIT人材の不足が約79万人に達する可能性があると予測されています。人手不足が深刻ななか、製造業の自動化やDX推進が重要なことは明らかでしょう。

参考:IT人材需給に関する調査|経済産業省

2-2.企業間競争の激化

さらに、グローバルな競争にさらされるなかで、効率化や生産性向上などに取り組まなければ企業の生き残りは難しくなりました。国内外を問わず製造業は競争激化や市場の変化に直面しており、DXはその解決策として期待されています。

2-3.国によるDXの後押し

また、DX推進は国家的な取り組みであり、経済産業省が中小企業を中心に積極的に補助金や助成金などによる支援を行ってきました。特に、「2025年の崖」問題への危機感がDX推進の大きな要因となっています。経済産業省の「DXレポート」によれば、2025年までにDXが進まない場合、最大12兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されているのです。

一方で、多くの企業がDXを実現させることで、2030年以降には実質GDPを130兆円以上押し上げる効果があるとの試算もあります。

参考:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

したがって、DXに積極的に取り組むことが重要であり、経営層から従業員まで組織全体が協力し、製造業DXを推進する必要があります。製造業DXは、市場拡大や競争力の維持・強化、効率性と生産性の向上、顧客満足度の向上など、多くの利点をもたらすのです。

3.製造業DXに取り組むメリット

製造業DXに取り組むことで、次のようなことが実現できます。

3-1.情報の見える化

IoTやAIなどのデジタル技術を活用することで、生産ラインの稼働状況や在庫、品質管理データなどをデータとして収集することですべてのプロセスを「見える化」できます。これにより、生産プロセスの効率化、在庫の最適化よるコスト削減、品質管理の強化が期待できます。

3-2.生産性の向上

DXにより、現場の業務の自動化がすすみ、大幅な生産性の向上が図れます。生産プロセスの自動化は人手不足の解消や品質の向上にも役立ちます。

DXには、各種書類のペーパレス化も含まれます。紙媒体をデジタルデータで処理、保存することは、文書の検索が容易、社内で共有しやすいなどのメリットが多く、業務の効率化や生産性の向上につながります。

3-3.サプライチェーンの最適化

サプライチェーン管理のためにサプライヤーと製造業者が情報を共有すれば、効率的な調達や生産、物流が実現できます。需要予測に基づく生産や在庫、輸送の最適化、納期の短期が可能で、コスト削減につながります。

3-4.技術やノウハウの共有

製造業では熟練の技術者の存在が不可欠でしたが、人材不足から技術やノウハウの継承や品質の維持が難しいという問題がありました。DXは、技術やノウハウの共有に活用でき、属人化した業務の標準化や自動化に役立ちます。人材不足が深刻ななかで、DXは作業の質の安定や品質の維持などに貢献しています。

3-5.顧客満足度の向上

製造業DXにより、顧客データの収集と分析が可能になり、ニーズをより正確に把握できるようになります。これにより、個別化された製品やサービスの提供、迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

3-6.変化への適応力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強化

ダイナミック・ケイパビリティとは、急速に変化する環境に対応し、企業内部および外部の能力を統合・構築・再構成する企業の能力を指します。製造業DXを通じて、市場の変化や技術革新に迅速に対応できる体制を構築できるでしょう。

例えば、デジタルツイン(実際の製造設備や製品をコンピューター上で再現し、シミュレーションを行う技術)を活用した製品開発プロセスの最適化や、AIの分析に基づく効果的な戦略立案を通じて、環境変化に柔軟に対応し、競争優位性を強化することが可能です。

3-7.人材不足の解決と働き方改革の実現

製造業DXは、深刻化する労働力不足に対しても効果的な解決策となります。ロボットやAIによる自動化、遠隔操作技術の導入により人手不足を補うとともに、従業員の負担軽減や安全性向上が図れます。

また、さまざまな技術の導入により、出社に限らない柔軟な働き方を導入できます。労働生産性の向上とともに、ワークライフバランスの改善が実現することで、人材の確保・定着も期待できるでしょう。

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4.製造業DXの推進で直面する課題

これまで説明したような製造業DXの重要性は分かっていても、製造業DXを進めるにあたり、以下のような問題に直面する企業は少なくありません。

4-1.DX人材の不足と育成の難しさ

製造業DXを推進するうえで特に大きな課題のひとつが、DX人材の不足です。特に以下のような点が問題となっています。

  • IT・デジタル技術に精通した人材の確保が困難
  • 既存の従業員のデジタルスキル向上が追いつかない
  • 製造業の業務知識とデジタル技術の両方を理解する人材が少ない
  • 経営層のDXに対する理解と推進力の不足

これらの課題に対しては、社内での人材育成プログラムの実施、外部専門家の活用、デジタル人材の積極的な採用などの対策が必要です。

DX人材の育成や確保の方法ついては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
DX人材とは?求められる役割や必要とされる理由、人材確保の方法
DX研修とは?未来に向けた企業成長の軸となる人材を育成するために
DXコンサルとは?役割や仕事内容、依頼するメリット・デメリットを解説

4-2.既存システムとの統合の問題

多くの製造業企業では、自社で長年使用してきた基幹システムや生産管理システムが存在します。DXを推進する際には、これらの既存システム(レガシーシステム)との統合において、以下のような課題に直面するケースがあります。

  • レガシーシステムとの互換性の問題
  • システム更新に伴う多額の投資コスト
  • データの移行や統合の複雑さ
  • 新旧システムの並行運用による業務の非効率化

これらの課題に対しては、段階的なシステム更新計画の策定、クラウドサービスの活用、APIを用いた柔軟な連携など、状況に応じた適切な方策を選択する必要があります。

クラウドへの移行方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
DXにはクラウド化が必要?実施にあたり知っておきたい進め方とポイント

4-3.組織の抵抗と文化の変革

DXの推進には、技術面だけでなく、組織や企業文化の変革も必要不可欠です。しかし、この変革には以下のような多くの抵抗が伴います。

  • 従来の業務プロセスや慣習への固執
  • 変化に対する従業員の不安や抵抗
  • 部門間の壁や情報の縦割り構造
  • リスク回避的な企業文化によるイノベーションの停滞

これらの課題に対しては、経営層によるリーダーシップの発揮やDXの必要性に関する丁寧な説明と対話、部門横断的なプロジェクトチームの編成などが有効な対策となります。

製造業DXを成功させるためには、これらの課題を適切に認識し、計画的かつ段階的に解決していくことが重要です。

5.製造業DXの進め方

製造業DXを効果的に推進するには、以下の5つのステップを段階的に実施することが重要です。各ステップで現場の状況を十分に把握し、組織全体で取り組むことがDX成功の鍵となります。

5-1.DXの目的とビジョンの共有

DXのビジョンを組織で共有することは、成功への鍵です。共有されたビジョンは、組織の一体感を醸成し、目標達成に向けて統一された方向性を示します。経営陣がリーダーシップを取り、DXの重要性と具体的なビジョンを明確に示すことで、従業員全員が同じ目標に向けて協力し、効果的に行動できるようになります。

5-2.DXに向けた現場データの収集

製造業DXを成功させるためには、現状の製造プロセスや業務を分析し、課題を洗い出す必要があります。現場データの収集と分析は、製造プロセスや業務を正確に把握するための重要な取り組みです。

現場データには、作業時間や人員、コスト、フローなど多岐にわたる現場データが含まれます。これらのデータを適切に収集し分析することで、製造プロセスの全体像を把握し、改善点を特定できます。

なお、製造プロセスのデータ収集には、自動的にデータを収集できるセンサーやIoTデバイスなどのデジタルツールが必要なケースもあります。また、現場へのヒアリングやアンケートも、定量的なデータには表れにくい現場の状況を把握するために有効な手段のひとつです。

5-3.現場データの分析と課題の明確化

収集したデータをもとに複雑な製造プロセスや業務の可視化を行い、これを分析し、取り組むべき課題を明確化します。業務可視化ツールを活用すれば、データを客観的かつ効率的に分析でき、適切な判断を行う助けになるでしょう。

5-4.必要な人材やスキルの定義

製造業DXを成功させるためには、適切な人材とスキルセットを定義し、確保することが不可欠です。DXに必要な人材には、デジタル技術に精通しているだけでなく、製造プロセスや業界特有の課題を理解している人材が求められます。

具体的には、データサイエンティスト、IoTエンジニア、プロジェクトマネージャーなどの役割が重要となります。また、既存の従業員に対しても、デジタルリテラシーの向上やデータ分析スキルの習得を促進する必要があります。

5-5.DX推進計画の策定

収集したデータの分析結果や、定義した必要な人材・スキルをもとに、具体的なDX推進計画を策定します。この計画には、短期的な目標と長期的なビジョン、具体的な実施項目とスケジュール、必要なリソースと投資計画などを含める必要があります。

計画の策定にあたっては、経営層と現場の意見を十分に取り入れ、全社的な合意形成を図ることが重要です。また、計画は固定的なものではなく、実施過程で得られた知見や環境の変化に応じて柔軟に見直しを行うことも必要です。

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6.製造業DXを実現する具体的な方法

製造業DXを推進するには、特定された課題に対して適切な技術を選定し、具体的に運用を開始することが重要です。主な取り組み方法として、以下のようなアプローチが考えられます。

6-1.IoTセンサーの活用

製造業DXでは、プロセスの自動化・IoTセンサーの活用が具体的な取り組みとして考えられます。

例えば、機械や設備に取り付けたIoTセンサーは、生産ラインの稼働状況をリアルタイムに把握することを可能にします。常時監視できるので、故障予測やメンテナンスの最適化に役立ち、生産計画の最適化や停止時間の削減が可能です。これにより、製造プロセス全体の効率化が進むことが期待できます。

6-2.業務効率化ツールの導入

効率的な情報共有と迅速な意思決定を実現するためには、ツールの導入が有効です。例えば、リアルタイムなコミュニケーションツールの導入により、情報共有と意思決定の迅速化が期待できます。

さらに、スケジュール管理、品質管理、在庫管理などの業務を効率化するためには、デジタルツールやソフトウェアの導入が効果的です。タスクの追跡や在庫情報などの可視化を行うことで、生産プロセスの透明性と効率を高めることが可能です。

6-3.データ分析と計画の見直し

データ分析と予測も製造業DXの実現に必要な取り組みです。蓄積したデータを分析し、生産能力、需要予測、在庫最適化などを予測できます。これらの予測に基づいて生産計画や調達計画を立てることで、生産性の向上とコスト削減が実現可能となります。

6-4.顧客ニーズに合わせたビジネスモデルの創出

DXは現場の効率化やコスト削減だけが目的ではありません。業務のデジタル化・IT化に加え、製品に新たな付加価値をもたらすことも積極的に意識していきましょう。

DXの進展とともに、これまでに得られなかった大量のデータを収集、蓄積することが可能になります。そうして得られたデータからは顧客のニーズに関する新たな知見を得ることが期待できます。

顧客のニーズを正確に把握し、それに対応する柔軟性を持ちながら、顧客満足度を高める製品やサービスを生み出し続けることが重要です。

7.製造業DXを成功させるポイント

製造業におけるDXを成功させるには、以下のとおりいくつかのポイントがあります。

7-1.明確なビジョンとリーダーシップ

経営層が明確なDXビジョンを示し、強力なリーダーシップを発揮することが重要です。このビジョンを全社員に浸透させ、DXの重要性について共通認識を持つことが成功の鍵となります。

7-2.プロジェクトの適切な管理

取り組むべきプロジェクトの優先順位を決め、適切な範囲を設定します。具体的な目標と期限を設定し、段階的にDXを推進することが大切です。

7-3.データ活用

正確かつリアルタイムなデータを収集し、適切な分析手法を用いて価値ある情報を抽出しましょう。データに基づく意思決定を行うことで、生産性向上や品質改善などの具体的な成果につながります。

7-4.DX人材の育成

DXに適した組織文化への変革と、必要な専門知識・能力を持つ人材の育成を行います。社内研修やe-ラーニングなどを活用し、全社員のデジタルリテラシー向上に取り組むことが重要です。

7-5.外部との連携

専門知識や技術を持つ外部パートナー企業と協力関係を構築するのも有効です。自社にない技術やノウハウを補完し、DXをより効果的に推進するためには、適切なパートナー選びが重要となります。

7-6.継続的な改善

DXの効果を常にモニタリングし、必要な改善策を継続的に実施します。PDCAサイクルを回し、成功事例や失敗から学びながら、DXの取り組みを進化させていくことが大切です。

7-7.リスク管理の徹底

DX推進におけるセキュリティ対策とリスク管理に十分な注意を払いましょう。サイバーセキュリティ対策の強化やデータ保護の徹底など、DXに伴う新たなリスクにも適切に対応することが求められます。

このように、まずは現行の製造プロセスについて、物理的な生産ラインから情報システムまで、全体像を把握することで、課題を特定します。その際、現場の従業員からの生の声をインタビューすることが重要です。 そして、DX人材の採用と育成も重要な要素といえるでしょう。継続的な学習とスキルアップを支援し、DXの推進者となる人材を育成することで、製造業DXの成功をより確かなものにできます。

8.大手企業の製造業DX成功事例

ここでは、国内大手企業における製造業DXの成功事例をご紹介します。

8-1.株式会社日立製作所

日本最大の総合電機メーカーである日立製作所の大みか事業所(茨城県)では、製品検査や設備保全に独自のソリューションを活用しています。OT (Operational Technology) とIT (Information Technology) を融合させた先進的な取り組みが評価され、2021年、世界経済フォーラムから日本で初めて世界の先進工場「Lighthouse」に選出されました。

同事業所では、ハードウェアの設計・製造過程でIoTを導入し、「高効率生産モデル」を確立することで生産リードタイムを大幅に短縮しました。また、品質管理においても、シミュレーション環境を活用して徹底した品質管理を行っています。

さらに、製品納入後のサポートも充実しており、サイバー防衛訓練サービスや安定稼働サービスなど、先進的な保守サービスを提供しています。これらの取り組みは、日立が長年培ってきた運用技術(OT)のノウハウと最新のデジタル技術を融合させた結果といえます。

8-2.旭化成株式会社

日本を代表する総合化学メーカーの旭化成は、製造業DXを積極的に推進しています。2021年から4年連続で、経済産業省、東京証券取引所、情報処理推進機構(IPA)による「デジタルトランスフォーメーション銘柄(以下、DX銘柄)」に選定されました。

近年の取り組みでは、まず2023年5月に従業員向け生成AI利用ガイドラインを策定し、全社的な活用を開始しました。専門部署を設立し、書面監査対応の効率化や技能伝承など、さまざまな業務で成果を上げています。ある部門では、年間約1820時間もの業務時間削減を見込んでいます。

また、MI(マテリアルズインフォマティクス)を用いてウイルス除去フィルターの開発を行い、従来品の2倍以上の性能を持つ製品の開発に成功しました。さらに、他社とのデータ連携を可能にする「共創型MI」の開発も進めており、革新的な製品開発を目指しています。

8-3.オムロン株式会社

制御機器や電子部品、ヘルスケア機器などを製造するオムロンは、データ活用を中心とした経営戦略で製造業DXを推進しています。2023年にはデータソリューション事業本部を設立し、主要事業での現場データを活かしたサービス展開を加速させることで、2024年5月に初めて「DX銘柄」として認定されました。

代表的な取り組みとして、2017年から提供している製造現場データ活用サービス「i-BELT」があります。このサービスは、オムロンの制御機器と自社工場のノウハウを融合させ、製造業の課題解決を支援するものです。さらに、「i-BELT」を核としたパートナー企業とのエコシステム構築も進めています。

また、DX推進に欠かせないステークホルダーとの透明性の高いコミュニケーションにも力を入れ、四半期ごとの決算説明会や、年間600件以上の投資家との面談を行っています。

9.中小企業の製造業DX成功事例

製造業DXは、大手企業だけでなく中小企業においても多数の成功例があります。これらの事例もぜひ参考にしてみてください。

9-1.株式会社今野製作所

板金加工や油圧ジャッキの製造に力を入れる今野製作所は、オーダーメイド型の高付加価値製品へのシフトを目指していましたが、社内の対応力不足や納期遅れなどの課題に直面しました。

そこで、業務プロセスの分析ツールを活用して業務を可視化し、自社に適したプロセスの整理を行いました。また、必要なシステムツールの小規模開発を実施し、業務改善に役立てています。外部専門家の助言を受けつつ、社内人材の適性を見極めながら改革を進めたことで、主体的に改革を行う風土が生まれたといいます。

この取り組みにより、生産形態の特性に合わせた事業の再構築や、新規ビジネスへの参入が可能になりました。さらに、部署間のデータ転記作業の自動化など、具体的な業務改善にもつながっています。

9-2.株式会社アイデン

電子機器の開発・製作・実装・販売や制御盤の製造などを行うアイデンは、制御盤製造における課題解決に取り組みました。具体的には、CADベンダーと協力して工程ごとの作業を標準化・可視化できるデジタルツール(IWS)を開発・導入しました。

この取り組みにより、フロントローディング(製品開発の初期段階にリソースを集中投入し、後工程での修正や変更を事前に解決する手法)の実現や生産性の向上を実現しました。また、作業者のスキルレベルに応じた分業体制の確保や、作業状況の適切な把握にもつながっています。

さらに、作業の標準化により、技術者が少ない海外市場への進出も可能になりました。この成功の背景には、機械化できる部分と熟練工の専門性を生かす部分を明確に分けたことや、システムエンジニアの採用を契機とした社内人材育成の実施があります。

製造業DXの事例については、以下の記事でも紹介しています。
DX成功事例を大企業から中小企業まで業種別にご紹介!共通する成功のポイントとは?

まとめ:製造業でDXを成功させるには全体把握と人材確保が重要

製造業がDXによって解決できる課題はさまざまあります。成功させるためには、現場の意見も聞きながら、業務プロセスの全体像を把握し、自社の課題を明確化することが必要です。DXを効果的に行うためには、専門知識を持ったDX人材の確保が重要ですが、人材確保が難しい企業も少なくありません。その場合には外部サービスを賢く活用しながら、プロの知見によるサポートを得ることもおすすめです。 

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経営ミッションを実現する"伴走型"DXアドバイザーサービス

製造業においてDXに取り組むことは急務の課題です。大企業に限らず中小企業においても、競争激化や市場の変化に直面するなかで、DXに取り組む必要性が増しています。本記事は、DXにおいてもリーダーシップが求められる製造業経営者に向けて、DX推進のポイントをまとめています。

この記事を書いた人
サン・エム・システムコラム編集部でございます。

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