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【2024年最新】DX推進で補助金・助成金を受給するには?種類や申請手続き、注意点を解説
DX推進には多額の費用がかかりますが、政府にとって国内企業に対するDX推進は重要な施策のひとつです。そのため、政府や地方自治体などでは、主に中小企業を対象として、DX関連の補助金・助成金を用意し、その取り組みを支援しています。
本記事では、これらの補助金・助成金の違いや種類、申請から受給までの流れ、注意点について解説します。
「DX推進」がなぜ重要な施策なのか知りたい方はこちらの記事をご参考にしてください。
1. DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して企業の事業モデルを抜本的に変革し、競争力強化や顧客体験の向上、新たな価値創造を実現することです。
デジタル技術の急速な発展によって産業構造や顧客ニーズが大きく変化する現代において、DXに取り組むことは企業の生き残りや持続的な成長に不可欠です。
DXの基本的な考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
2. DX推進にかかるコスト
DXを推進していくには、新しいテクノロジーやツールなどが必要となり、以下の分野でコストがかかります。
なお、DX推進に必要な費用感については以下の記事もあわせてご覧ください。
DXにかかる予算はどのくらい?コストの目安と予算確保の取り組み方を解説
2-1. システムの導入・開発・運用
DXの実現には、新しいシステムの導入や開発が必要です。クラウドサービスの利用料、ソフトウェアライセンス費用、開発委託費などの初期コストに加え、システムの保守・運用に継続的なコストがかかります。
2-2. 既存システムの刷新・統合
DXを進めるには、システムの運用費だけでなく、レガシーシステムの刷新や、複数のシステムの統合が必要になることがあります。これらの刷新や統合には、新しいシステムの開発費用、データ移行費用、統合作業の委託費用などが発生します。
2-3. 人材の採用・育成
さらに、IT分野と自社の業務に関する深い知識を必要とするため、DX人材の採用・育成が必要です。
また、自社で完結するのが難しい場合は、外部のDXコンサルタントに戦略の策定や推進、ツールの選定などの助言を求める必要があります。DXコンサルタントは、知見と経験の蓄積を必要とする高度な専門職のため、コンサルタント費用が発生します。
「DX人材」や「DXコンサル」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考にしてください。
DX人材とは?求められる役割や必要とされる理由、人材確保の方法
DXコンサルとは?役割や仕事内容、依頼するメリット・デメリットを解説
2-4. 研究・調査や戦略立案
DXを効果的に推進するには、最新のデジタル技術動向や市場環境、競合他社の動向などを継続的に調査・分析する必要があります。自社の現状分析やDX戦略の立案にも相当なコストがかかるでしょう。
弊社では、DXに課題をお持ちの企業様に向けてDXアドバイザーサービスを提供しております。
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3. DX推進で受けられる補助金・助成金の違い
このように、企業がDX推進を進める際には多額の費用がかかるため、政府や自治体などが用意する補助金や助成金を活用するのが有効です。
補助金と助成金は、ともに企業を支援する制度ですが、いくつかの違いがあります。
3-1. DX補助金・助成金の違い
- 管轄省庁の違い
補助金:主に経済産業省が管轄します。
助成金:主に厚生労働省が管轄します。 - 支給の円滑さ
補助金:事業の革新性や生産性向上に重点を置き、採択件数があらかじめ決まっているため、
審査次第では採択されない場合があります。
助成金:雇用維持や労働環境改善に焦点を当てており、一定の要件を満たせばほぼ支給されます。 - そのほかの傾向
補助金:一般的に助成金より高額となる傾向がありますが、使途が限定的で審査も厳格です。
助成金:金額は比較的小さいものの、使途の自由度が高く、手続きも簡素な場合が多いです。
3-2. DX補助金・助成金のどちらを選択すべきか
上記のような違いを認識したうえで、企業は自社の事業内容、DX推進の目的、財務状況、人材育成の必要性などを総合的に勘案し、補助金と助成金のどちらが適しているかを判断することが重要です。
例えば、新規事業や大規模な設備投資を伴うDXには補助金が、既存事業の改善や従業員のスキルアップが主目的の場合は助成金が適している可能性が高いでしょう。場合によっては、補助金と助成金を組み合わせて活用することで、より効果的なDX推進が可能になることもあります。慎重に検討し、最適な選択をすることが、DX推進の成功につながる重要な一歩となります。
4. DX推進に補助金・助成金を活用するメリット
DX推進に補助金や助成金を活用することで、以下のようなメリットを得られます。
4-1. DX推進にかかる費用負担を軽減できる
DXの実現には、ITインフラの整備、システム開発、人材育成など、多岐にわたる分野で費用が必要です。補助金・助成金を活用することで、これらの費用の一部を賄うことができ、自社の財務負担を大幅に軽減できます。
4-2. 補助金・助成金の次回の申請で有利になる
一度補助金・助成金に採択されると、次回の申請でも有利になる可能性があります。採択実績は、自社のDX推進の計画性や実行力を示すものとして評価されるため、継続的な補助金・助成金の獲得につながります。
4-3. DXへの取り組みを対外的にアピールできる
補助金・助成金交付候補の採択者となれば、自社のDX推進の取り組みが社会的に認められた証となります。補助金・助成金の活用実績は、自社のDXへの積極的な姿勢を示す強力なアピールポイントとなり、企業イメージの向上につながります。
DX推進に補助金・助成金を活用することは、コスト削減以外にもさまざまなメリットがあるのです。
5. DX推進に活用できる補助金・助成金一覧
ここからは、DX推進に活用できる補助金・助成金について種類や概要などを案内します。詳細や最新情報については、それぞれのリンクから公式ウェブサイトでご確認ください。
5-1. ものづくり補助金
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
中小企業・小規模事業者が取り組む革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援する補助金です。
2024年6月時点で最新の公募要領(18次締切分)では、 省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型)、グローバル枠の3つの申請区分があります。
- 補助率は最大2/3、ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 補助上限額は、省力化枠で最大8,000万円。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 対象経費は機械装置・システム構築費、技術導入費などです。
詳細については、下記の公式ウェブサイトでご確認ください。
ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト | 全国中小企業団体中央会
5-2. IT導入補助金2024
中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する補助金です。
インボイス制度への対応もカバーされています。通常枠(A・B類型)、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠などの5つの申請区分があります。
- 補助率はインボイス枠(インボイス対応類型)において、小規模事業者に対する補助率が最大4/5に拡大。ほか通常枠が1/2以内など、企業規模や申請区分によって異なります。
- 補助上限額は、通常枠で最大450万円。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 対象経費はソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費などです。
詳細については、下記の公式ウェブサイトでご確認ください。
IT導入補助金2024(令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)
5-3. 事業再構築補助金
ウィズコロナ・ポストコロナ時代を迎えた経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態変換など思い切った事業再構築に取り組む中小企業を支援する補助金です。
成長分野進出枠(通常・GX進出類型)、コロナ回復加速化枠(通常・最低賃金類型)などがあります。
- 補助率は成長分野進出枠(通常類型)で1/3~2/3以内など。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 補助上限額は、サプライチェーン強靱化枠で最大5億円。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 対象経費は建物費、機械装置・システム構築費、外注費などです。
詳細については、下記の公式ウェブサイトでご確認ください。
事業再構築補助金 | 中小機構
5-4. キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は本来、非正規雇用労働者の雇用の安定と待遇の改善を目的とした助成金制度です。正社員化コース、賃金規定等改定コース、賞与・退職金制度導入コースなどの区分があり、DX推進に欠かせない人材育成に活用できる助成金です。
- 支給額は正社員化コースの1人当たり助成額が有期雇用労働者で60~80万円、無期雇用労働者で30~40万円など。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
- 次に記載する「人材開発支援助成金」の特定の訓練を修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合は、助成額が加算されます。
詳細については、下記の公式ウェブサイトでご確認ください。
キャリアアップ助成金|厚生労働省
5-5. 人材開発支援助成金
人材開発支援助成金には、2024年6月現在、人への投資促進コースや人材育成支援コースといった6つのコースがあります。高度デジタル人材の育成支援や、OFF-JTやOJTを行った場合に助成されます。
1事業所が受給できる助成額の上限は人材育成支援コースで1,000万円/年、事業展開等リスキリング支援コースで1億円/年など。ほか企業規模や申請区分によって異なります。
詳細については、下記の公式ウェブサイトでご確認ください。
人材開発支援助成金|厚生労働省
6. そのほかのDX補助金・税制度
そのほかの自治体独自の補助金や税制度について紹介します。
6-1. 自治体や商工会議所の補助金
自治体や地域の商工会議所などが独自に実施している補助金には、例えば以下のようなものが挙げられます。
- DXリスキリング助成金(東京都)
- DX推進補助金(福岡県北九州市)
- 神戸市中小企業DX推進支援補助金(兵庫県神戸市)
具体的な支給条件や要件は、個別に異なるため、所在地の自治体や商工会議所などに問い合わせることが必要です。
6-2. 税制度
DX推進を後押しする税制優遇措置としては、「DX投資促進税制」が挙げられます。
DX投資促進税制は、企業がDXの実現に向けて必要な設備投資を行った際に、税制上の特別措置を受けられる制度です。具体的には、要件を満たすソフトウェアやシステム、機械装置を取得した場合に、取得価額の3~5%の税額控除または30%の特別償却を受けることができます。
この制度は2021年に新設され、2025年3月末を期限として運用されています。
DX投資促進税制|経済産業省
ここまで紹介したように、DX推進に役立つ補助金・助成金にはさまざまな種類が存在します。それぞれの違いを理解して、自社の取り組みや要件に合う最適なものを選びましょう。
なお、申請の時期や年度ごとに、各補助金・助成金の申請区分や要件は改定されています。申請時は事前に最新情報を確認しましょう。
7. DX補助金・助成金の申請前に確認すべきこと
DX補助金・助成金を申請する前に確認しておくべきことは以下のとおりです。
7-1. 自社のDX推進に適した補助金・助成金の選定
自社のDX推進の取り組みに合致する補助金・助成金の種類や支援内容を調査します。各制度の対象事業や補助率、上限額などを把握し、自社に最適な制度を選定しましょう。
7-2. 申請要件と受付期間の確認
選定した補助金・助成金の申請要件を満たしているか、受付期間内に申請が可能かを確認します。募集要領や公式サイトで最新情報を入手しましょう。
7-3. 事業計画の策定
補助金・助成金の申請には、DX推進の事業計画の提出が求められます。自社のDX推進の目的、目標、実施内容、スケジュール、予算などを明確にした計画を策定しましょう。
7-4. 必要書類の準備
申請に必要な書類を早めに収集し、準備を進めます。登記簿謄本、財務諸表、見積書などの書類の取得や作成には時間を要するため、計画的に進めましょう。
7-5. 資金繰りの検討
補助金・助成金は原則後払いのため、事業実施資金を一時的に自己調達する必要があります。資金繰りを十分に検討し、必要な準備をしましょう。
8. DX補助金・助成金の申請から受給までの流れ
補助金・助成金の利用までの流れは、それぞれに異なる場合があり、個別の募集要領で確認する必要がありますが、ここではDX推進に補助金を利用する際の一般的な流れを説明します。
8-1. 申請書類の準備と提出
申請したい補助金・助成金を決めたら、公募要領に基づき、申請書類を準備します。 事業計画書、予算書、会社概要などの必要書類を過不足なく用意し、申請期限までに指定された方法で提出します。
8-2. 審査と交付決定
審査の結果、採択された場合は、所管官庁や事務局から採択の決定通知がなされます。その後、具体的な経費などを盛り込んだ交付申請を行い、その内容が認められると交付決定がなされます。
8-3. DX事業の実施
交付決定の内容で、DX事業を行います。事業の進捗状況を適切に管理し、予算の使途を明確にしておくことが大切です。
8-4. 事業実績の報告
申請通りに事業を実施したことを報告します。 交付決定の内容に沿って事業が実施されたことを示すため、経費の使途を明確にしたうえで、事業実績報告書と証拠書類を指定された期日までに提出します。
8-5. 補助金・助成金の受給
申請通りに事業が実施されたことが確認されると、補助金を受け取ることができます。補助金・助成金の交付方法は、各制度によって異なります。
上記の流れを理解し、各段階で求められる要件を満たすことが重要です。
9. DX補助金・助成金を申請する際の注意点
補助金・助成金の利用までの流れは、それぞれに異なる場合があり、個別の募集要領で確認する必要がありますが、ここではDX推進に補助金を利用する際の一般的な流れを説明します。
9-1. 申請書類が煩雑で、専門的知識が必要
申請書類は煩雑で、適切に手続きを行うためには専門的知識が必要です。自社に専門的な知識を持った人材がいない場合は専門家からのアドバイスを受けることも検討しましょう。
9-2. 申請期間がある
前述のとおり、補助金・助成金には種類ごとに申請期間が定められ、申請期間内に手続きを行う必要があります。利用したい補助金・助成金のスケジュールについては前もって把握し、余裕を持って手続きができるよう準備しましょう。
9-3. 基本的に後払い
補助金・助成金は、基本的には後払いで、事業実施の検査を受けるまでは、受け取ることができません。申請から受給に至るまでに時間がかかるため、受給前は補助金・助成金に頼らず費用を負担する必要があります。
9-4. 補助金は、審査結果によっては受給できない
補助金は、採択件数が限られており、審査の結果次第では利用できない場合があります。補助金・助成金の活用をDXの事業計画に組み込む際には、受給できる保証はないことを認識しておきましょう。
なお、申請内容の質を高めることで、審査を通過できる可能性は上がります。申請書類をけっして軽視することなく、入念に準備することが大切です。
9-5. 会計検査院の調査対象となる場合がある
会計検査院は、国の予算執行の適正性を確認するため、補助金・助成金の使用状況を調査する権限を持っています。調査対象となった場合は、申請内容と実際の使用状況の整合性、経費の適正使用、帳簿や証憑書類の保管状況などが厳密にチェックされます。
そのため、補助金・助成金を受給した場合は、関連する書類や証憑を適切に保管し、使用状況を明確に説明できるよう準備しておくことが不可欠です。不適切な使用や虚偽の申請が発覚した場合、補助金・助成金の返還や、場合によっては罰則の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。
9-6. 融資との併用に注意
DX推進においては、補助金・助成金の申請と並行して融資の申請を検討する企業も少なくありません。補助金・助成金の交付までのつなぎ資金として融資を利用する場合は、返済計画を綿密に立てることが重要です。融資申請時には、補助金・助成金の交付見込みも含めた詳細な資金計画を提示し、金融機関の理解を得ることが大切です。補助金・助成金と融資を組み合わせることで、より大規模なDX投資が可能になります。一方で、過度な借入にならないよう、長期的な財務健全性を維持する視点も忘れてはいけません。
これらのポイントを押さえて、DXに役立つ補助金・助成金を効果的に活用しましょう。
10. DX補助金・助成金を活用して企業のDX化と成長を加速させる
DX補助金・助成金は、中小企業がデジタル技術を活用して業務の効率化や職場改善、人材育成、あるいは新しいビジネスモデルの開発を進めるための支援制度です。
申請・審査の結果、採択された中小企業は、コストを抑えて自社のDXを推進し、競争力を高めることができます。なお、他社のDX推進事例については以下の記事で紹介しています。
DX成功事例を大企業から中小企業まで業種別にご紹介!共通する成功のポイントとは?
しかし、補助金・助成金を受給するためには、一定の条件を満たす必要があります。
また、多くの応募事業者の中から採択されるためには、申請に関する提出書類の内容が極めて重要といえるでしょう。
申請手続きについては、政府や自治体の公式ウェブサイトを確認するか、専門家に相談することをおすすめします。
専門家へのご相談が必要な場合は、ぜひ弊社、サン・エム・システムへご連絡くださいませ。
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