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AWS資格保持者による徹底比較!今更聞けないオンプレミスとクラウドの違いとは?

AWS資格保持者による徹底比較!今更聞けないオンプレミスとクラウドの違いとは?
クラウド

情報システムを動かす基盤として、「オンプレミス」にするのか「クラウド」にするのか、はいつでも真っ先に俎上に載るテーマです。
では、「オンプレミス」と「クラウド」それぞれの長所と短所にはどういったものがあるのでしょうか?
この記事では、オンプレミスとクラウドを8つの観点で比較し、それぞれの有利な点と不利な点を明らかにします。

  • オンプレミスのシステムをクラウドへ移行しようか検討している方
  • オンプレミスなんて古いとお考えの方
  • クラウドのメリットについて知りたい方

▼この記事を書いた人
サン・エム・システム11年生のインフラエンジニアです。
ここ数年クラウドの設計構築の案件に何件か参画しており、今後もどんどん携わっていきたいと考えています。
自らの知識を深化させるために、2022年3月には「AWS Certified Solutions Architect - Professional」の資格を取得しました。
次はAzureの資格を取得しようと勉強中です。

1.そもそも「オンプレミス」と「クラウド」とは?

クラウドが出現してから15年以上が経ち(※)、もはやクラウドは特別なものではなくなりました。
そこでクラウドと対比されるのがオンプレミスです。
しかし、こうお考えの方もいるのではないでしょうか?

「クラウドがもてはやされているけど、そんなにいいものなの?」
「オンプレミスにはそんなに重大な欠点があるの?」

この記事では、そんな疑問にお答えすべく、オンプレミスとクラウドの違いについて解説します。

最初に、オンプレミスとクラウドとは何かを簡単におさらいしておきましょう。
「オンプレミス」とは「on-premises(構内で)」という英語に由来します。
つまり、情報システムの機器を自前で持ち、管理・運用を行う形態がオンプレミスです。
対して「クラウド」の場合、機器やサービスはクラウドベンダーが管理します。
ネットワーク経由で接続してサービスを利用する形態がクラウドです。

※2006年に「Amazon Web Services(AWS)」がサービスを開始しました。
その後、2008年にはGoogleが「Google Cloud」を、2010年にはMicrosoftが「Azure」を、それぞれサービス開始しました。

2.オンプレミスとクラウドの違い

オンプレミスとクラウドを比較した内容を、以下の表にまとめました。
徹底比較! オンプレミスとクラウドの違いとは?_2.png 各項目について、順番に見ていきましょう。

2-1.費用(初期投資とランニングコスト)

費用について、初期投資とランニングコストの面から、オンプレミスとクラウドを比較してみましょう。

クラウドの特徴としてわかりやすいのは「初期投資を低く抑えやすい」という点です。
オンプレミスの場合、最初に機器を全て購入する必要があります。
また、後からリソース(CPUやメモリやストレージなど)を追加するのは大変なので、最初から余裕を持たせたスペックで構築する場合が多いです。
すると、現時点で実際に使うのよりもハイスペックな機器を取り揃えることになるため、初期投資の額を押し上げる要因になります。

対してクラウドの場合、基本的にサービスは従量課金制、つまり「使った分だけ支払う」という仕組みが取られます。
リソースの追加(スケールアップやスケールアウト)・縮小(スケールダウンやスケールイン)は簡単にできます。
そのため、最初は必要最低限のスペックで使い始めて、リソースが不足してきたら追加する、というのがクラウドの基本的な使い方となります。
最初から高スペックな機器を用意しなくてもよい分、初期投資を低く抑えやすいです。

ランニングコストに関しては、一概にどちらが安い、とは言いづらいです。
オンプレミスの場合、運用保守のための費用がかかります。
機器で故障が起きれば、交換用の部品を調達する必要もあります。
一方で、そういった費用を除けば、初期投資でほとんどの費用は支払い済みで、後からかかる費用は小さいとも言えます。

一方のクラウドは多くの場合、月額で利用費を支払います。
サービスを使い続けた結果、トータルで見るとオンプレミスの初期投資額とクラウドのランニングコストはあまり違わない、ということもあります。

クラウドについて補足すると、物理的な機器の管理はクラウドベンダーの仕事です。
サービスによっては機器の上のOSやミドルウェア、さらにはソフトウェアもクラウドベンダーが管理する場合もあります(※)。
要するに、クラウドを使えば自分たちで保守する範囲を少なくできます。
そのことを踏まえると、クラウドの費用対効果は高いと言えるのではないでしょうか。

※サーバの物理的な部分だけクラウドベンダーが管理するものは「IaaS」
OSやミドルウェアまで管理するものは「PaaS」
ソフトウェアまで管理するものは「SaaS」と呼びます。

2-2.スピード感

設計構築にかかる時間、すなわち「使用開始までのスピード」という点では、圧倒的にクラウドが有利です。

オンプレミスの場合、機器を選定し、発注し、それが届いてから構築を行う、ということになるため、場合によっては数か月かかることもあります。
また、2022年現在、世界は半導体の不足が続いており、半導体を用いた機器が手元に届くのに長い時間を要するようになっています。
クラウドの場合、このようなことはありません。
管理画面から使用するサービスについてクリックを繰り返していけば使用開始できます。
早ければほんの数分でサーバが起動してしまうのです。

2-3.カスタマイズ性

カスタマイズ性、つまり「どれだけ自分の好きにできるか」という点では、オンプレミスに軍配が上がります。

オンプレミスの場合は、例えば、物理的な意味でのサーバはどのメーカーのどの型を使うか、サーバで使用するミドルウェアは何にしてバージョンはいくつにするか、などの組み合わせは自由です(もちろん、ベンダーのサポート範囲内で、ですが)。
どれを使うか選ぶのは手間かも知れませんが、それだけ納得して使用することができると言えるでしょう。
一方のクラウドの場合、クラウドベンダーが提供するものを利用することになります。

カスタマイズ性を料理に喩えるとわかりやすいでしょう。
オンプレミスは自分で材料を買ってきて自分で作る場合です。
自分の食べたいものを作れますし、手を抜くのも隠し味を入れるのも自由です。
クラウドは、お店に行って注文する場合と言えます。
あくまで出てくるのはメニューに載っている料理だけ、量も味付けもあくまでお店が決めたもの、となります。

2-4.拡張性

拡張性、すなわち、メモリやストレージなどのスペックを後から増やすことがどれだけ簡単か、という点では、クラウドが優れています。

オンプレミスの場合では、追加する機器の購入、設置ももちろん自分でやらなくてはいけません。
一方クラウドでは「2-1.費用」でも書いた通り、物理的な機器はベンダーが管理しています。
そのため、スペックの追加は仮想サーバやサービスの制約に対して行うことになります。
この場合、スペックの追加はたいていの場合、ベンダーが用意している管理画面からクリック操作をするだけでできてしまいます。

また、オンプレミスで自前で機器を調達しようとした場合「サーバに合ったメモリが品薄で手に入らない」などといったことも起こり得ますが、クラウドはそんなことはありません。
ベンダーが選択肢として用意している限り、スペックの追加が可能です。
さらに、追加だけでなく縮小が容易なのもクラウドの特徴です。
「念のため高スペックのサーバで使い始めてみたけれど、思ったより負荷が低くてリソースが無駄になっている」と思ったら、スペックを下げて、利用費も安くしてしまえばよいのです。

2-5.可用性・耐障害性

可用性・耐障害性を担保することを考えた場合、もっともわかりやすいのは、いざという時に備えて冗長構成をとることでしょう。
では、オンプレミスとクラウドでは、どちらが冗長構成をとりやすいでしょうか?

オンプレミスの機器は、基本的には1台だけのバラ売りです。
つまり、「冗長構成をとりたいなら、自分でもう1台用意する」のが基本です。

クラウドの場合、サービスによっては最初から可用性・耐障害性が担保されているものもあります。
簡単な例は、データを保存しておくストレージサービスです。
よくあるのは、サービスがデフォルトで、またはオプション機能として、データを複数のデータセンターに自動的にコピーして保存してくれるというものです。
どこかのデータセンターが災害で使えなくなったとしても、無事なデータセンターにあるデータを使って、ユーザは何も気にすることなくサービスを利用し続けられる、というわけです。
こうして見てみると、クラウドは物理的な機器を調達しなくてもよく、サービスによっては自動的に耐障害性が担保されている、という点でオンプレミスより有利と言えるでしょう。

2-6.保守性

保守性、つまりパッチ適用やサービス監視やバックアップ・リストアの面ではどうでしょうか。

オンプレミスの場合、当然ですがパッチ適用は全て自分たちで行う必要があります。
監視やバックアップ・リストアについては、仕組みを自由にカスタマイズできるという利点があります(2-3.カスタマイズ性で述べた通りです)。
どの製品を使うのか、監視の粒度はどうするか、バックアップは何世代保存するのか、など、使用する製品が許す限り、自由自在です。

クラウドの場合、パッチ適用については一部ベンダーにお任せできます。
先ほどから「物理的な機器はクラウドベンダーが管理する」と言っていますが、サービスによってはハードだけでなくソフトの部分もクラウドベンダーが管理するものがあります。
その場合、パッチ適用の責任はクラウドベンダーが負います。

監視やバックアップ・リストアについては、そのためのサービスがクラウド内で提供されています。
それらは他のサービス(サーバやデータベースやネットワークなど)と連携することを前提に作られているので、それをうまく利用すれば、お手軽に監視やバックアップ・リストアの仕組みを実装することができます。
制約としては、これもカスタマイズ性の話になってしまいますが、監視の粒度やバックアップで保存できる世代数などは、サービスの仕様に左右されるという点です。
監視の粒度を高めたいと思っても、サービスが対応していなかったり、追加料金が発生したりする、ということがあり得ます。

2-7.セキュリティ

セキュリティ面ではどうでしょう?

オンプレミスの場合、サーバなどの機器は自社ネットワーク内に存在します。
外部との通信は全てファイアウォールで制限されているため安全です......本当にそうでしょうか?
「中にあるから安全、外と繋がっているから危険」という考え方は、残念ながら古いものとなってきています。
まず、クラウドも外と無制限の通信を許可しているわけではありません。
オンプレミスでファイアウォールを設置していたのと同じように、許可する通信を制限するのは必須です。

また、IPAが毎年情報セキュリティの脅威についてまとめていますが、上位に入る脅威はメールがきっかけとなるものが多いです(ランサムウェアの感染や標的型攻撃)。
業務においてメールをなくすことは難しいでしょうし、怪しいメールを篩い落とすという点では、オンプレミスでもクラウドでも大きな差はありません。
ネットワークの中に入ってきたメールから脅威が広がる、ということを考えると、オンプレミスが格別有利ではないという点はおわかりいただけるかと思います。

セキュリティ対策についてもう一つ重要なのは、最新のパッチを適用することです。
先述の「2-6.保守性」とも重複しますが、クラウドの場合、ベンダーがパッチを適用してくれるものがあります。
この点では、パッチの動作検証を行って、パッチ適用の日程や人員を調整して......という手間も時間もかかるオンプレミスより、むしろクラウドの方が安心安全と言えるのではないでしょうか。
また、クラウドは多くのユーザに対してサービスを提供しています。
サービスの質を高めユーザを守る責任を負っているため、クラウドベンダーはたゆみなくセキュリティを高めています。
そういう意味でも、クラウドのセキュリティのレベルは極めて高いのが事実です。

2-8.データ保管場所

近年、注意が必要なのが、データがどこに存在しているか、という点です。

オンプレミスの場合は明確です。自前で立てたサーバの中にあります。
場所について明言することが可能で、サーバが設置してあるデータセンターの住所やラック番号、または自社の住所やサーバルームが何階にあるかを、細かく答えることができるでしょう。

クラウドの場合は事情が異なります。
まず、クラウドは複数のデータセンターの集まりです。
AWSやAzureといった世界規模のクラウドは、データセンターがどこにあるのか、その具体的な住所は公開していません。
さらに、「2-5.可用性・耐障害性」で例を出しましたが、ユーザが望む・望まないに関わらず、クラウドの仕様としてデータが複数のデータセンターに配置されることがあります。
そのため、クラウドを利用する場合はデータがどこに配置されるのか、国外に出ていくことはないのか、事前に確認しておくことが重要です。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか?

こうして見ると、実はオンプレミスがまるっきりダメだというわけでもなく、クラウドが完璧でみんな乗り換えるべきだというわけでもなく、オンプレミスとクラウドそれぞれに得意・不得意がある、ということが分かったかと思います。
そのため、様々な面から比較して、どちらを採用するかを決める必要があります。
或いは、両方を併用する「ハイブリッドクラウド」も選択肢の一つになるかもしれません。
近年のトレンドとしては、クラウドのメリット(費用、拡張性、可用性など)の方が大きいと考えられることが多く、カスタマイズ性は求めず、むしろクラウドの仕様の中で最大限に効果を発揮するようにシステムを作るべきという考え方が広まりつつあります。
その様な理由から「クラウドを採用するべきと考える」方が増えているように思います。

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参考サイト(サイト/記事名・URL)

  1. IPAによる情報セキュリティ10大脅威のレポート
  2. オンプレミスとクラウドを比較した先人の皆様

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