⌚ 2022/4/ 4 (Mon) 🔄 2024/3/20 (Wed)
他人の行動を変えるには?
2年以上のコロナ禍の中で、日本では海外よりマスク着用が浸透しています。
マスクには、不織布以外、ウレタン製・布製・ガーゼなどがありますが、オミクロン株感染拡大防止策としては「不織布マスク」だけが予防に有効だといわれています。
しかも、半分に折って針金を鼻の形に合わせて三角にしてから不織布マスクを正しくつけると、よりフィットし感染リスクが下がります。
他人の行動を変えるナッジ効果
ところで、対面で人と会う際に相手が不織布マスクでなかった場合、あなたはどのように相手に注意を促しますか?
①ウレタンマスクはダメだ、私に移すつもりか。と注意する。
②あなたがコロナをもらってしまうよ。不織布マスクだけが99%ウイルスカットできるので、
よかったらこれどうぞ。と不織布マスクを渡す。
「行動経済学」からすると、②の言動だけが、他人の行動を変えさせることができます。「損したくない」という「損失回避」と、有益な行動を促して状況を改善させるよう働きかける「パターナリズム」の組み合わせです。逆に①の強制的な言動の場合、相手に不快感を与えるだけで、他人の行動を変えることができません。
このように、人間は合理的に判断する以外に感情とシチュエーションを合わせて行動することが多いため、
強制ではなくさりげない誘導で行動させる「ナッジ効果」を利用できます。
そのためにもコミュニケーションが重要です。相手の行動を否定するだけでなく肯定し、どちらの方がお得か自分で考えさせます。そして、伝え方を少し工夫するだけで相手も素直な変更が可能になります。
同じ内容を伝えるのでも、あくまでさりげなく間違っている選択の自由も残しておきます。すると不思議なことに相手は、自分で選択している気持ちになるので、自己肯定感がありトラブルなく変更できるのです。
ナッジ効果の例
例えばエスカレーターに乗る場合、最後まで立ち止まるのが正解ですが、左右で乗れば輸送力が2倍になるにもかかわらず、左側に寄って右側を空けています。
おまけに左側の負荷がかかって故障しやすいし、右側を駆け上がる人とぶつかってケガをした事故も多発しています。
人はなぜ左側に寄るのでしょうか?
右側は急ぐ人のために空けておくべきという常識が浸透しているからです。
左右どちらでも選ぶ自由があるように見える中、人とのトラブルを避けようとつい左側を選びます。
不本意にも右側で乗ってしまった場合は、前が空いているので歩かざるをえなくなります。
その為に、右側に乗る勇気がなくあえて無難な左側を選んでしまいます。
ではどうしたらこの状況を自然に変えられるでしょうか?
まだ多くはありませんが、エスカレーターに1,2段ごと・左右交互に足跡マークをつける取り組みが始まっています。
これを全国のエスカレーターに波及していければ、私も堂々と右側に乗って立ち止まることができるでしょう。 エスカレーター所有者も足跡マークをつけるだけなので、低コストで事故も防げます。これこそがナッジ効果の有効利用です。
まとめ
このように、ナッジ効果による行動選択は個人の生活だけでなく、ビジネスや政策などにも応用できます。今後の活動方針に活用していくとお互いWin-Winの良好な関係を築いていけるでしょう。
一人ひとりの行動の変化により世の中を少しでも良くするためには、不織布マスクをつけてエスカレーターでは立ち止まりましょう!
参考文献
世界最前線の研究でわかる!スゴい!行動経済学 著:橋本之克 総合法令出版
朝日新聞Digital
https://www.asahi.com/articles/ASP6P7FQ7P6PUPQJ00P.html?iref=pc_photo_gallery_breadcrumb